いつの時代でも、模範的な社員と、逆に周囲から嫌われ、会社に迷惑をかける社員はいます。最近は、入社時から優秀な人と社会に出るのはまだ早いかなという社員の二極化が進みました。私の感覚では、その割合は2割ずつ。そして、問題社員の半分が“鼻つまみ部下”の予備軍なのです。
彼あるいは彼女たちは、普段は波風を立てずに業務をこなしていますが、何か事が起こると、正しい対処ができません。間違った判断をしたり、仕事を途中で投げ出したりして、上司や同じ部署の人が振り回されてしまいます。なかでも問題になるのが、同性に嫌われる存在です。
そうした社員は、いくつかのタイプに分けられますが、男性で一番嫌がられるのが、平気で嘘をつく人です。返事が「多分」などと曖昧で、面倒なことは放っておき、時が過ぎるのを待ちます。こんな社員を、私は“プリズンブレイク型”と分類しています。
不動産会社に勤務しているA君は賃貸物件の営業担当です。先日も「夜景のきれいな部屋を探している」というお客様に「いい物件があります。いま契約すれば、すぐに入居できます」と契約を結びました。でも、信用していざ入居してみたら、目の前は別のマンションの壁。当然、お客様は黙っていません。A君に問いただすと「もしかしたら気に入ってくれるかもしれないと思った」と、まったく反省の色は見られませんでした。
自分の営業成績のことしか考えられず、そのままにして相手が諦めるのを待っているわけです。結局、上司が尻拭いをすることになったのですが、おそらく「誰かが何とかしてくれる」という甘えが根底にあるのでしょう。
そこで、やや手荒な方法ですが、知人などに依頼して、厳しいクレームをつけてもらいます。そして、最後まで本人に解決させ、営業マンとしての欠点を自覚させます。そうでないと、彼は同じ過ちを繰り返し、いつかは会社に多大な損失を与えかねません。