マスコミからの名誉毀損の被害による損害賠償額は、400万~500万円あたりが相場とされています。電子媒体の場合、仲間内の話という解釈で賠償額が減額される可能性も。プライバシー侵害では10万~50万円でしょう。

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書き込んだ中身と賠償の相関関係は……

ただ、個人の写真や住所、電話番号、日常の行動までバラされた、被害者が行う事業も影響を受けたとなると話は別。単なる慰謝料でなく、営業上の逸失利益の問題にまで発展し、想像を超えた損害賠償の額になることも考えられます。また被害者が悪口の書き込みを知らなかった場合は、時効までの日数を数える起算点が変わります。悪口に気がついて、自分に損害があること、加害者を知ったときからカウントされることも覚えておく必要があります。

しかし、ネット上でトラブルを起こすのは、別に若者に限られた現象ではありません。50代の航空管制官が、自分のブログに米大統領機に関する機密事項を書いていたことが大問題になりました。根底にあるのは、日本人の多くが、仕事上の秘密に関する意識が希薄ということでしょう。

今は、多くの企業で就業規則を決めていて守秘義務がありますが、新橋周辺の飲み屋街にでも行けば、酒を飲みながら秘密漏洩のオンパレード。懲戒事由になるものもたくさんあるはずです。

もっとも、このように酒を飲みながら、上司と部下、同僚同士で話すという、昔は普通にみられた習慣が最近は減っているようです。電子媒体を使い、1人で語る人が増えているという時代背景もあるかもしれません。

言論の自由、通信の秘密等は憲法で保障された重要な権利ですが、以前は少人数で話していた内容を電子媒体で発信することは、法的責任も負うのだと自覚すべきです。今まで出版社、テレビ局などのマスコミ関係者だけが抱えていたようなリスクが、個人にまで及ぶ時代になってきている。有史以来、初めての現象でしょう。

(構成=金井良寿)
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