あくまでもシラを切り通すべし

社内の人間しか知らない内部情報をインターネットの掲示板に匿名で書き込んだところ、会社の上層部がそれをたまたま見つけて大騒ぎに。

「誰だ!」と犯人捜しが始まった。自分が書いたとバレたら、まずい立場に立たされるのは確実……。こんなときは徹底的に抵抗するしかない。

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プロバイダは発信者情報を簡単には開示しない

会社の犯人捜しは、まずアクセスプロバイダへの発信者情報開示要求から始まる。しかし書き込みの内容が殺人予告など犯罪性のあるものでない限り、プロバイダがすぐ開示に応じることは考えにくい。なぜならインターネット上のやりとりは通信の秘密として法律上保護されている。これを簡単に漏らしてしまうプロバイダなど扉の壊れた便所のようなもので、誰も使わなくなってしまうからだ。そこでプロバイダは自らの信用問題として、「開示してほしければ裁判を起こしてください。開示せよという判決が出たら従います」と突っぱねることになる。書き込まれた側はわざわざ裁判を起こすのは面倒臭いと考え、たいていの場合は泣き寝入りとなる。したがってまずは事態の沈静化を待つのが得策だろう。ただし書き込みの内容が人に危害を加える予告であったり、信用毀損や風説の流布など株価に影響を及ぼすようなものであれば、プロバイダによっては開示に応じる可能性もある。

次に、もし会社のパソコンを使って書き込みをした場合。これは会社のサーバーを調べれば、誰のしわざかほぼ判明する。ただし社員のプライバシーに関わることなので、会社も調査に踏み切るのは慎重になる。そこですかさず、「そんな調査はプライバシーの侵害です」と声を上げることだ。ほかの人が「調べていいですよ」と言っているのに1人だけ反対するのは、自分が犯人だと言っているようなものだが、もしこれで会社が調べるのをやめれば儲けもの。あくまでもシラを切り通すことだ。ただし、会社が社員のメールやアクセスログなどを調べることに入社時の誓約書で同意していたり、就業規則に書いてあれば、いくらプライバシーの侵害を叫んでも無駄である。