書き込んだ内容は半永久的に残る

面識のない人とソーシャルメディア上で繋がることは、「拡散のリスク」を広げていくことにほかならない。フェイスブックやツイッター、ミクシィなどのソーシャルメディアでは、自分の発信した情報が、コントロールできないまま広がってしまう恐れがある。フェイスブックで「友達」を安易に増やすことは、様々なリスクを増やすことだともいえる。

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SNSを利用するうえで気をつけている点

たとえば11年1月には、都内のシティホテルのアルバイト店員が、ホテル内のレストランを利用していた著名人の情報をツイッターに書き込み、大きなトラブルになった。店員の個人情報がネット上に晒され、事実上、働き続けることができなくなった。ソーシャルメディアがなければ、こうしたトラブルは起きなかっただろう。親しい友人にメールで知らせる程度では問題にならなくても、ネット上に投稿することで、それが瞬く間に面識のない人たちへと拡散される。最悪の場合には、営業秘密の漏洩や名誉毀損などの責任を問われることになる。「友達」が少なければ絶対に安全というわけではないが、多いほうがよりリスクは高い。

トラブルが続発するようになり、企業側も、ソーシャルメディアの利用について、従業員に注意喚起を促すようになった。これまで企業側は、「営業秘密の漏洩」については強く警戒してきた。営業秘密とは、顧客データや製造ノウハウなど、アクセス制限が行われている秘密の情報のことで、これは不正競争防止法での保護の対象になっている。こうした「重い情報」は、ソーシャルメディアで流出することはまずない。このため企業側の危機意識は、それほど高くなかった。