仕事ができる人はどんな思考法をしているのか。デロイト トーマツ コンサルティング出身で経営コンサルタントの権藤悠さんは「抽象化思考を身に付けるといい。鋭い洞察力が身につき、『つまり、こういうことだよね』というように、本質を見抜けるようになる」という――。

※本稿は、権藤悠『頭のいい人になる 具体⇄抽象ドリル』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

スマートフォンを操作するビジネスマン
写真=iStock.com/sang-hwa lee
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鋭い洞察力につながる「抽象化思考」

「抽象化思考」というのは、共通点を見つけるということが軸となる思考法です。言葉や事柄の共通点を探すことによって、より上位の概念へ集約していったり、個別具体に枝分かれしているものをグルーピングしたりします。抽象化思考が身につくと、データの中からパターンや傾向を発見できるようになるので、鋭い洞察力が手に入ります。「つまり、こういうことだよね」というように、本質を見抜けるようになるのです。

抽象化思考は4つに分類されます。

・共通点思考

・分類思考

・要点思考

・法則思考

一つずつ、説明していきましょう。

隠れた共通点を見つける「共通点思考」

「共通点思考」は、ものとものの間に隠れている共通点を抽出する思考法のことです。

たとえば、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチという言葉からは、「ハチ」という共通点を見つけることができます。個別具体な物事の共通点を見つけて、一つ上の階層に上がり、抽象化するイメージです。具体化思考で説明した「分解思考」の真逆となる頭の使い方だと思ってください。

「共通点思考」は無機的な例だけではなく、もちろん日常やビジネスシーンにおいても役立ちます。たとえば、「ハット首脳会談」というプロジェクトをご存じでしょうか。これは、ピザハット、イエローハット、リンガーハットの3社が、8月10日の「ハットの日」を盛り上げるためにコラボしたというもので、2022年と2023年に実施されました。この3社の共通点は、お察しの通り「ハット」という言葉です(ちなみに、2024年は「ハト」もOKになったようで、「ハトのマークの引越センター」も仲間に加わっていました)。

「ハット」という共通点に着目してコラボレーションをするなんて、とてもユニークですよね。単純ですが、なかなかない発想だと思います。共通点思考があれば、こんなこともできてしまうのです。