ランチの相席、セミナーからの帰り道、エレベーターを待つ時間など、ビジネスにおいて気まずいシーンは、どう回避すればよいのか。マナー講師の諏内えみさんは「感じよく対応するのが大事。相手を気遣うスタンスで、『牽制』の言葉をプラスすると失礼なく気まずさを回避できる」という――。

※本稿は、諏内えみ『我慢しない、侮らせないビジネスパーソンの処世術 戦略としてのずるいマナー』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

食堂で上司に遭遇してしまったら…

仕事の合間や昼休みは一人でひと息つきたいという方も多いでしょう。

そんなとき、会社の食堂や近くのレストランで上司と遭遇してしまった! さらに悪いことに「お疲れさま~」「ここ空いてる?」と隣に座られたら?

いくら招かざる客であっても、「すみません、それはちょっと……」とは言いにくいですよね。

かといって自分の時間を犠牲にしたくはないですし、この場合どのように対応するのがよいのでしょうか?

こんなときは「もちろんです」「どうぞどうぞ」など快く返事をしたうえで、次のような言葉をプラスするのがおすすめです。

「すみません。しばらくメールを打たなければならず、あまりお話しできないかもしれないのですが……」
「調べ物がいくつかあるので、すみませんがしばらく失礼します」

つまり、「どうぞ」+「でも話せませんよ」ということを先に伝えてしまうのです。

あらかじめ断っておけば、スマホやパソコンを見ながらたまに会話を挟むくらいでも相手は納得してくれるでしょう。

ここでも、会話が進む前に先手を打っておくのが賢明です。

ポイントは、決して困った表情を見せないこと。まずは相手の目を見て、「どうぞ」と快く受け入れましょう。

はじめに「感じがいい」「歓迎されている」「いい人」という印象を与えてしまうのです。そのうえで十分に会話できない理由も告げれば、スマホを見続けていても好意的に受け取ってもらえます。

スマートフォンのメッセージアプリをタップする指
写真=iStock.com/bombuscreative
※写真はイメージです

相手が席についてすぐが狙い目

また、居心地が悪いので先に席を立ちたいと思うかもしれません。

そのような場合も考え方は同じ。相手が席に着いたら、できるだけ時間を空けずに「私はちょっと早めに戻りますが、どうぞゆっくりなさってください」と告げておきましょう。

この「歓迎」と「牽制」の釘刺し作戦は、このほかにも意外と使えるシーンが多いのでご自身の状況に合わせて活用なさってください。