気まずいエレベーターのお見送り
会議や打ち合わせが終わり、お客様をエレベーターホールまで見送るとき。必ず浮上するお悩みが、以下の3つです。
1「エレベーターホールに向かう廊下での話題作りに苦戦する」
2「エレベーターがなかなか来ないときの沈黙が気まずすぎる」
3「エレベーターに乗ってからドアが閉まるまでの時間が居たたまれない」
もう何年もの間、みなさんから同じお悩みを訴えられますが、この状況を回避するのは、じつはとても簡単なのです。
あなたが頑張るべきポイントは、エレベーターホールに向かうまでの間よりも、エレベーターホールに着いてからです。
それまでは、話題を「お取り置き」しておきましょう。
多くの方はエレベーターホールへ向かう途中で話題を使い果たしてしまっているので、エレベーター待ちの時間が思ったよりも長いと、「どうしよう。もう話すことがない……」と焦ってしまうのです。
でも、ホールへの移動中は「歩く」という動作があります。エレベーターをじっと待っている場面に比べると、無理に会話を続けなくてもそれほど支障がありません。
もっとも気まずい時間は、ホールに着いてからエレベーターの到着を待つ時間と、乗り込んでからドアが閉まるまでの時間なのですから。
勝負はエレベーターホールに着いてから
エレベーターホールに着いたら、引き出しにしまっておいた話題をここぞとばかりに使います。
「部長の○○様にもどうぞよろしくお伝えください」
「夕方からお天気が崩れるようですが、このあとはどちらへ?」
「先ほどの件は、確認後にメールにてご連絡させていただきます」
などなど、とにかくまだ出し切っていない話題を振ります。
ただ、お客様がエレベーターに乗り込んだとしても、不運なことになかなかエレベーターのドアが閉まらないときもありますよね。
そこでみなさんが安易に用いてしまうのが、お辞儀です。「もうかける言葉が見つからない!」「無言で目が合っていては気まずい」という非常事態には、この便利な所作で上手く繋ぎができると考えられているのです。
ところが、通常別れ際は30度程度のお辞儀で十分なはずなのに、この場面に限ってはエレベーターのドアを境に90度の最敬礼。ドアが閉まりきるまで双方頭を下げ続ける……。
このような光景を礼儀正しいとみるのか? 逆に滑稽と観るのか? いずれにせよ、黙って長い間お辞儀をし続けることにお互い違和感をもつのは確かでしょう。
そこで、話題は相手がエレベーターに乗り込んだあとまで最低2つは残しておくのが「ずるい」戦略です。
ここで使うセリフはシンプルなものでOK。
「では、明日までに○○をお送りいたします」「お暑いのでお気をつけて」「本日はお足元の悪い中ありがとうございました」「次回の打ち合わせもどうぞよろしくお願いいたします」などの簡潔な言葉を添えて、いよいよドアが閉まり始めたタイミングに合わせて通常の30度のお辞儀をすれば、スマートなお見送りの完成です。