お詫びに出向いた際に気を付けたいマナーは何か。マナー講師の諏内えみさんは「謝罪に出向くときは、一刻を争う事態でない限り、お詫びの品を持参すべきだ。その際の品物の選び方・渡し方についても戦略をたてる必要がある」という――。

※本稿は、諏内えみ『我慢しない、侮らせないビジネスパーソンの処世術 戦略としてのずるいマナー』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

不満を持っている相手に寄り添う

クレーム対応の鉄則は、お客様の不満を最後まで聴くこと。うなずきや相づちを適度に入れつつ、相手の言い分にじっくりと耳を傾けるのが基本とされています。

本記事では、もうひとつ大切なことをお伝えします。

それは「共感」です。

お怒りのお客様に対して、反射的に「申し訳ございませんでした」と言ってしまうこともあるかもしれませんが、まだどちらの責任なのか判断がつかない状態のときには適切ではありません。

ただし同じ言葉であっても、不満感や不快感を持っている相手の感情に寄り添う「共感」の意図であればむしろ有効です。

「この度は不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした」
「さぞお困りのことでしたでしょう。大変ご心配をおかけしております」

など、自社のミスを「肯定」するのではなく、相手の困りごとに「共感」する言葉として使います。

相手は、どれだけ迷惑を被ったか、どんなに困ったか、どれだけ不愉快な思いをしたか、どんなに無駄な時間や金銭を費やしたかなど、溜まっていたものをとにかく吐き出したいと思っています。

ですから、こちらの共感の姿勢が伝わり「ちゃんと聞いてくれている」と感じてもらえれば、さらに不満が膨らむことはまずないはずです。

手のひらの上の赤いハート
写真=iStock.com/scyther5
※写真はイメージです

理不尽なクレームにも「共感」は惜しみなく

これは、対面の場合であっても電話の場合であっても共通です。

「結局謝っているんだから同じじゃないか」と思われるかもしれませんが、先に挙げた言葉は、決してあなたや自社側の非を認めたということではありません。あくまで不快な思いをされたことへ共感する言葉となります。

ですから、もし理不尽なクレームを受けた場合であっても「共感」の言葉はどうぞ惜しみなく。

そのうえで、お困りの事実について確認し、解決策をご提案するといった基本のクレーム対応を行ってください。