周囲の人から学びとなる話を引き出すには何をすればいいか。人材育成事業を展開するラーンウェル代表の関根雅泰さんは「教える側から情報を得るために、傾聴では『邪魔しない』『油をさす』『一旦止める』の3つが重要だ。相手が気持ちよく話してくれるのを『邪魔しない』うえで、話をしやすいよう『油をさす』ことで促す行為をしながら、『一旦止める』ことでこちらの理解度を示し、相手の不安を払拭するといい」という――。
※本稿は、関根雅泰『改訂新版 オトナ相手の教え方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
「良い点」と「気になる点」をセットで観察する
先の記事で、私たちは「自分の経験」「周囲の人々」「先人の知恵」という大きく3つのリソース(資源)から学んでいると述べました。
本稿ではその「学びのリソース」の2つ目、「周囲の人々」からいかに学んでいくかを考えていきましょう。「周囲の人々」から情報を獲得する「学びスキル」は、「観察・質問・傾聴」です。
まず、周囲の人々から学ぶために相手を「観察」します。ここでは、私たちに教えてくれている人を取り上げ、「良い点・見習いたい点」と「イマイチな点・気になる点」を中心に観察していきます。
「この説明の仕方、分かりやすい」「お客様への対応、この小さな気遣いが素晴らしい」など、探していけばその人の「良い点・見習いたい点」はたくさん見つかるはずです。
その反面、教えてくれる人も人間ですから、「イマイチな点・気になる点」も何かしら見えてしまうでしょう。「この説明だと、相手に伝わらないよな」「お客様にあんな態度は取らないようにしよう」など、教わる中で見えてくる「イマイチな点・気になる点」も出てくるはずです。
そうすると、私たちも人間ですから、「イマイチな点・気になる点」のほうが目につき、その人に「良い点・見習いたい点」があってもかき消されてしまうことがあります。