職場で部下に指導をするとき、どう伝えるといいか。人材育成事業を展開するラーンウェル代表の関根雅泰さんは「相手の言動を変えてほしい時は、まずは『良い点』を伝え、次に改善点を1つだけ指摘するといい。その上で、今後どのような言動を取ろうと考えているのか、本人に言わせることだ。自分の口に出して言った言葉であれば、より納得性の高い約束になる」という――。

※本稿は、関根雅泰『改訂新版 オトナ相手の教え方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

相手の言動の変化を手助けする3つのポイント

これまでの経験、自分なりの考え、プライドもある大人相手に、自分の言動を変えてもらうのは難しいものです。

10年、20年、それが当たり前だと思って過ごしてきた行動や考え方を変えるためには、かなり意識して直さなければならないからです。ただ、少し厄介なだけで、不可能なわけではありません。

そこで、変化の手助けをよりスムーズに行えるポイントを3つ挙げたいと思います。

ターゲット(標的)
シナリオ(筋書)
フォロー(追跡)

です。

次から1つずつ見ていきましょう。

まず、ターゲット(標的)を明確にします。ここでいうターゲットとは、相手の変えてほしい言動のことです。私たちが「変えてほしい」と考えるということは、その言動はどちらかというと「悪い」あるいは「望ましくない」言動であるといえるでしょう。例えば、服装、立ち居振る舞い、言葉遣い、お客様や周囲の人への接し方、仕事の進め方などです。

白い背景にスーツを着た女性
写真=iStock.com/years
※写真はイメージです

会社のメンバーとしてふさわしくない言動があるならば、改善してもらう必要があります。誤ったパソコンの操作方法や資料作成の仕方、TPOにそぐわない身だしなみなど、仕事上必要な最低限の知識から教えなければいけない場合もあります。