「口頭で訊く」の使い方には注意が必要
最後に、どうやって(How)質問していくかということを、2つの手段に分けて見ていきます。まずはメールやチャットなど、「文字を入力して質問する」やり方です。ある程度訊きたいことがはっきりしている時に有効です。
また、相手からの回答も文字で残るので、後々まで参照が可能になります。ただ相手にとってみると、自分も「文字で返信する」ことを面倒に感じる人もいます。そういう場合は、口頭で訊くとよいでしょう。
2つ目は「声で訊く」方法です。リアル、オンライン、電話などで相手と「言葉で話す」ということです。自分でも何が分からないのかはっきりしない、もやっとしている時は特に有効です。
相手と話しながら、自分の分からない点がはっきりしてくる、質問したいことが明確になってくることがあります。その反面、相手からは「何を聞きたいかはっきりさせてから質問に来てよ」と思われるかもしれませんので、使い方には注意が必要です。
「質問が明確」なほうを好むタイプの人には「文字で質問」したほうが良いでしょう。それに対して、多少質問がもやっとしていても、話しながら相手をすることを苦に感じないタイプの人は、「声で訊く」ほうが良いかもしれません。相手に合わせて、質問の仕方(How)を使い分けていきましょう。
邪魔しない・油をさす・一旦止める
質問をすれば、当然ですが何かしらの答えが返ってきます。それを受け止めるのが「傾聴」です。教えてくれる相手が気持ちよく話してくれるよう、まるで滑車を回すかのように聞いていきます。
滑車をくるくる回して、教える側から情報を得るために、傾聴では「邪魔しない」「油をさす」「一旦止める」の3つを心掛けます。
「邪魔しない」というのは、文字通り、相手が気持ちよく話してくれるのを邪魔しない、さえぎらないということです。逆に、相手の邪魔をするとは、こちらが話し出すことです。
こちらが話し出せば、相手は話せなくなってしまうので、せっかく気持ちよく話していたのに、私たちの話によって邪魔されて、滑車が止まってしまいます。
とはいえ、私たちが何も言わず、ただ相手にしゃべらせていれば、「ちゃんと聞いているのか」「聞き流しているのではないか」と教える側も不安になるかもしれません。そこで必要になるのが、滑車に「油をさす」ことです。
「油をさす」とは、相手が話をしやすいよう「話を促す」行為を指します。例えば、「うなずく」「あいづちを打つ」「相手を見る」「質問する」「メモを取る」などです。これらの「油をさす」行為によって、どんどん情報を引き出していきます。