2024年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお届けします。ビジネス(自動車)部門の第1位は――。
▼第1位 豊田章男氏の警告"に世界がようやく気付いた…EVメーカーの「ハイブリッド車投入」が相次いでいる理由"
▼第2位 トヨタ・豊田章男会長はやっている…あいさつに付け足すだけで不思議と交渉がうまくいくようになる「ひと言」
▼第3位 やっぱり豊田章男会長の「全方位戦略」が正しかった…自動車大国中国で「売れないEV」が山積みになっているワケ
▼第4位 豊田章男会長の戦略は正しかった…「パリ市内を走るタクシーの大半が日本のハイブリッド車」という衝撃事実
▼第5位 豊田章男氏の「EVへの懸念」が現実のものに…世界中で「EVシフト」を見直す大手メーカーが相次いでいる理由
テスラが減速し、日本車メーカーの伸びが目立つ
2024年1~6月期、世界の自動車産業の構図はやや変化した。これまで世界のEVシフトの象徴的存在とみられてきた、米テスラの販売は減速傾向が鮮明化した。それとは対照的に、中国勢のEVメーカーは相応の好調さを維持している。また、ハイブリットに強いわが国自動車メーカーの米国販売は増えた。
航続距離の延長や二酸化炭素の排出削減の点から、新興国でもハイブリッド車(HV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)の需要は増加傾向だ。特に、中国メーカーはPHVのラインナップを急ピッチで増やしている。電動化の手段はEVだけではないともいえる。
今後、エンジン車、HV、PHV、EV、燃料電池車(FCV)などをめぐる日米欧中の自動車メーカーの競争は激化するはずだ。中国の過剰生産から自国の雇用を守る姿勢を示すため、米欧の政府が中国製電動車に追加の関税を課す可能性も高まる。新興国の自動車需要をめぐる、主要メーカーの競争も一段と激化するだろう。
全方位戦略からいつ、EVへ絞り込むか
わが国経済を牽引する自動車産業にとって、世界的な競争激化への対応を十分に準備する必要があるだろう。わが国メーカーは、ハイブリット車やEVなど“全方位の事業戦略”をとっている。今のところ、その戦略は奏功しているものの、長い目で見るとEVへのシフトは不可避とみられる。その変化にいかに対応するか、わが国の自動車業界にとって重要なポイントになる。
また、自動運転技術開発、EV充電器の敷設などインフラ整備も避けて通ることはできない。わが国の自動車メーカーが、そうした変化にいかに迅速に対応できるか、自動車業界のみならずわが国経済の浮沈がかかっているともいえる。
今年初以降、世界の自動車業界の中でテスラの苦戦が目立つ。米国の自動車販売市場は底堅く推移しているが、その中でテスラの販売は減速傾向にある。中国と欧州でもテスラは伸び悩んだ。それに対して、トヨタなどわが国自動車メーカーは、主に北米向けのHV輸出を増やして健闘した。