すぐにビジネスにつながる「数字センス」を磨く練習問題を、ミリオンセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者が伝授。足し算、引き算、掛け算、割り算という、算数の知識があれば十分解けます。

Q.会社にとって大きな損害となるのはどちらか?

(A)従業員による1万円のムダな交際費
(B)経営者による売り上げ100万円の値引き5万円

景気が悪くなると、多くの経営者は必死になって経費を削減しようとする。

公認会計士 山田真哉氏

「1万円も使って誰と食事したんだ? 経営が苦しいんだから、こんな交際費は認められない」と、経費の精算書類につけた領収書を前に、従業員を叱責する社長がいたとしよう。

一方で、この社長は、ある会社を新しい取引先にしたいと考えており、トップセールスを繰り返していた。あと少しで、何とか商談が成立しそうだ。もうひと押しというところで、彼はこの見込み客に対して次の提案をした。

「わかりました。では、この100万円の製品をお買い上げいただけるのであれば、今回だけ特別に5万円を割り引いて、95万円でお売りいたしましょう」

恐らくこの経営者は、次のように思って値引きをオファーしたに違いない。

「5万円の損は出たけれども、これで95万円の売り上げが立つのだから、誰も文句は言わないだろう。損して得取れとは、まさにこのことだ」