▼小宮さんからのアドバイス

経済に強くなるには、やはり日経新聞を丹念に読むことをおすすめします。読み方としては、見出しだけでもいいので社説、政治、国際も含め、一面から順にすべて目の中にいれていく。これを毎日繰り返すのです。なかでも、私が普通の人より興味深く読んでいるのは「経済教室」です。難しいからといって飛ばして読んでいる人も多いかもしれませんが、一流の識者が比較的やさしく現在の経済を解説してくれています。

グラフの出典:gooリサーチとの共同調査「あなたの時間の使い方に関するアンケート」(n=1500万円以上306人、500万円台311人/2009年11月調べ)

経済や経営は生き物です。日々、生の情報が更新されていきます。これをどう生かしていくかを考えたときに、経済学や経営学の枠組みを知り、最新の情報に触れることは欠かせないことなのです。月曜日の日経新聞の朝刊には、「景気指標」が掲載されます。私は20年間、毎週この指標を読んでいます。これはマクロやミクロでの現実社会の現象が数字として表れているもので、いまでは私の脳の一部になっているといっても過言ではありません。それは、政治や経済記事を読む際にも大きな武器となっています。

一例をあげましょう。2009年11月の閣議後の記者会見で、民主党の菅直人副総理兼経済財政担当大臣(当時)が突然、「現在はデフレ状況にある」と発言しました。たしかに09年夏の時点では、消費者物価指数は2%以上下落していました。しかし、同時に輸入物価指数も30%ほど落ちていたのです。デフレには、需要を供給が上回る需給ギャップによる悪いデフレのほかに、輸入物価が下がることによって起こる良いデフレがあります。菅大臣がデフレ宣言をしたときには、まだこの良いデフレと悪いデフレが混在していました。