ところが、そのような説明をせずにデフレ宣言をすれば、国民は「まだ物価が下がるのならもっと下がってから買おう」という心理になります。買い控えが広がり、ますます需給ギャップが広がってしまうのは、火を見るより明らかでした。つまり、菅大臣のデフレ宣言は、間違いではないもののタイミングとしては最悪だということが日経新聞をしっかり読むことでわかるようになるのです。
さらに、これからのビジネスマンにとって会計の知識はなくてはならないものになっています。会計というのは、会社の現況や抱えている問題点を把握するための絶好のツールでありフレームワークだからです。会計、数字への苦手意識は早いうちに克服したほうがいい。私の著書に「『1秒!』で財務諸表を読む方法」という本がありますが、3時間あれば読めると思います。
また、もし詳しく財務会計を学びたいのならば、桜井久勝さんの『財務会計・入門』をおすすめします。09年3月まで、明治大学の会計大学院で講義をもっていたときにも、最適な本として学生に紹介しました。何冊も読むよりも良書一冊を熟読するのは、勉強の基本中の基本。ビジネスパーソンであれ、本格的に会計士試験を受ける学生であれ、試験に受かるためのアンチョコ本を平たく暗記するだけでは、将来のためになりません。
※すべて雑誌掲載当時
(山口雅之=構成)