「16帖のLDKでアイランドキッチン」は無謀

対面キッチンと並んで人気のある「アイランドキッチン」は、周囲をぐるっとまわりながら調理ができる形状で、両サイドに通路があります。複数人で使うことを想定して、最低でも両サイドには80cmの通路を設けたいところ。

また、背面で人がすれ違うことを考えると、そこにも80〜90cmの幅がほしいです(図表4参照)。

【図表4】アイランドキッチンのあるLDKの間取り
出所=『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)

アイランドキッチンを導入する場合は、キッチンとダイニングで12〜14帖ほどのスペースが必要になるので、LDK全体では最低でも21帖、実際は24帖あるとゆとりがもてます。

16帖のLDKに導入するのはかなり難しいでしょう。

「おしゃれなLDK」は実用的ではない

それでもアイランドキッチンにしたい場合、ダイニングとリビングをひとつの空間として使用する方法があります。

一般的にはダイニングテーブルで食事をして、リビングのソファーでテレビを見るという考え方ですが、それらがひとつになったリビング・ダイニングテーブルセットを設置して兼用するのです。

キッチンが6帖、リビング・ダイニングで10〜12帖なら、開放感はイマイチですができないことではありません。

ただし、せまいLDKにアイランドキッチンを導入すると、調理音や水音、ニオイなどがすぐそこのリビングに伝わって、くつろげなくなってしまいます。

とくにお客様がいるときにキッチンを使用すると会話の妨げになることもあり、不便になるのを覚悟してください。

また、アイランドキッチンは「見せるキッチン」であり、コンロやシンクもインテリアのひとつとして考えなければなりません。

調理中に食材や調味料が散乱していたり、使用後の食器をそのままにしておいたりすると、リビングが汚れた印象になってしまいます。

水や油の飛び散りなどもすぐに拭き取らないと、周囲の床に汚れが目立ち、劣化も進みます。

印南和行『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)
印南和行『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)

日ごろから整理整頓ができ、清潔さを保つことができればよいかもしれませんが、毎日の家事をなるべく短時間で済ませたいと思うなら、アイランドキッチンはあきらめたほうがよいでしょう。

住宅を建てる際には、ドラマや映画で見るようなおしゃれなLDKを目指す人は多いと思いますが、実用的ではありません。

キッチンは家族のぶんだけモノがあってゴミが出る場所なのです。

何十年も暮らすマイホームでは、動きやすく掃除がしやすい、収納がしっかりできるキッチンづくりをおすすめします。

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