「当確」の根拠はメディアの独自情報
東京都知事選挙の投開票日を迎えた。夜の速報番組ではいつも通り、大手メディアが「当確」と報じて候補者がバンザイするのだろう。過去の選挙でも、20時の投票締め切りと同時に「当確」となった候補者が、支援者たちと喜ぶ姿が報道されてきた。
しかし、まだ開票作業が終わっていないのに、「当確」が出たらテレビで候補者がバンザイするというお定まりの光景は、よく考えたらおかしくないだろうか。
そもそもこの「当確」は、各メディアが独自に得た情報を基に出す(当確を打つ、ともいう)もので、公式なものではない。だから、過去にも「当確」が出た候補が落選したという「誤報」も各社が出している。
最近も、共同通信が6月16日の沖縄県議会議員選挙で完全に誤った「当確」速報を出したと問題になった。「米軍基地の辺野古移設反対派の過半数議席獲得が確実になった」と報じたのだが、実際の結果は賛成派と同数だった。確実になったと報じた内容が不確実だった。
ネットで怪しい勢力によるフェイクニュースが問題になっているのに、立派な報道機関である共同通信が誤報を出すとは情けない話だ。通信社の誤報は各新聞に掲載される。この時も約20紙が掲載したという。
誤報だったことの「おわび」も掲載されたが、今後どう改善していくのか、共同通信として今後も当確報道をしていくのか、説明しなくていいのだろうか。その信頼はかなり失われたと思うのだが。
誤報を出すなら判定自体をやめたほうがいい
全国紙や通信社が当確判定をする対象は主に衆院選・参院選・全国の知事選だが、今回の沖縄県議選のように、重要な争点を抱えた地方選挙では当確判定を行うことがある。
筆者が得た情報によると、今回の共同通信の誤報は、開票所で候補者の票をスマホで打ち込む際に、間違って別の候補者の枠に入力してしまったことが原因だった。スマホで打ち込むんかい! それは間違いも起こるだろう。ふだんの記事ではダブルチェックがあるはずだが、このやり方では、現場の担当者が打ち間違ったらそのまま誤報になってしまうではないか。
こんな大雑把なやり方で出した「当確」記事が数多くの新聞に掲載される。このやり方を見直せないなら、共同通信は当確判定をやらないほうがいいと思う。共同通信の「当確」は、もう信じられない。