前時代的な取材に受信料が使われている

なんとも莫大なエネルギーをかけていることがわかる。そしてイメージより非科学的に思える。もちろん独特のノウハウが継承されてきたのだろうけれども、前時代的だ。私には20世紀のノウハウに思える。やっているみなさんからすると「いやいや、かくかくしかじかの確証があって当確を出してます!」と言いたいだろうが、なんともご苦労さまなことだ。

ほとんどの選挙が、翌日には選管が発表した公式な「開票結果」が出るのに、選挙特番のためにこれだけの労力を注ぎ、私たちの受信料を使っていると思うと、悲しくなる。

実は、NHKは前田会長時代に効率化を図るべく、某メディアグループと出口調査の一本化などコスト削減策を協議し、ほぼ合意に達していたらしい。稲葉会長に代わり上層部が一新された際、なぜか新執行部はこの合意に激怒し白紙に戻ったという。

その後、NHKは当面赤字が続き1000億円支出を削減する経営計画を発表したのに、もったいないことをしたものだ。現執行部が時代についていけてないことの証にもなる話だ。当確報道に血道を上げるのはもう時代遅れなのに。

非公式情報で「当選した」と喜ぶ候補者もおかしい

そして筆者が疑問なのが、大手メディアが「当確」を打つと、候補者がバンザイすることだ。これはまったくもっておかしなことだと思う。

各メディアが勝手に「当確」を打つのは、まあいい。それは「私どものメディアは、この候補者が確実に当選すると判断しました」ということだろう。なぜそれを以ってして、当選したことになっているのか。当選したかを判断するのは、最後まで開票したか、特定の候補者の得票が残りの票が全部別の候補の得票だとしても十分多いと言える時で、いずれも選管が判断することだ。

選管の発表を基に各メディアが報道するのが正しいのではないか。私が言っているのは現実見てない「正論」ではない。民主主義のシステムとして、行政機関ではないメディアが出した当確を「当選」と同等に扱うのはおかしい、ということだ。

開票結果が出る前に勝手に「当確」を出した候補者に「当選したお気持ちをお聞かせください」とマイクを向けるのは、メディアの役割として間違っていると言いたいのだ。