「会食における素直さ」5つのポイント

ここで、「会食における素直さ」として具体的に意識すべきポイントをいくつか挙げたい。

○まず肯定から入る
他者の話に納得がいかなくても、「いや、」と否定から入らない。

○アドバイスをメモする
頂いたアドバイスについてはいったん受け止めて感謝を伝える。お手洗いで席を外した際や、帰りにメモを取っておき後日の御礼で内容について言及するとよい。

○お薦めをすぐにチェックする
会食中に紹介してもらった映画・飲食店などは積極的に行き、行った後に写真付きで報告する。本を紹介された際は、その場でAmazonで購入ボタンを押して画面を見せ、後日読んだ感想を伝える。

○どんなことでも、まずは取り組む
今の自分には意味を見出せないことでも愚直に取り組む。会食で話題に出た誰もしたくないような泥くさい調整や雑務こそ、積極的に手を挙げる。

○お礼を丁寧に伝える
会食の解散前、自宅についた時、そして翌日の三度の御礼をホスト・ゲスト参加者に対して欠かさない。

実は、アドバイスや推奨されたことを真摯に受け止めて行動に移せる人材はそんなにいない。だからこそ、この5点を意識するだけで圧倒的なアドバンテージとなるのだ。

「打てば響く」という信頼は財産になる

なぜ、ここまでしなければならないのか。

それは、「打てば響く」と周囲から思われる存在になるためだ。

これも過去の行き過ぎた話であるのだが、私と仲の良いテレビ局の先輩が、「yuuuよ、今から日本列島ダーツの旅をやろうぜ!!」と言って、会社に飾られていた日本地図に向かって、不意にダーツの矢を投げ始めたことがあった。

当たった場所は、広島県のはずれにある「大久野島」。かつて大日本帝国陸軍が毒ガスの製造をしていた関係で、「地図から消された島」とも呼ばれていた。

「地図から消された島」として知られる大久野島(1948年米軍撮影)
「地図から消された島」として知られる大久野島(1948年米軍撮影)(写真=国土地理院・地図空中写真閲覧サービス/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

言うまでもないが、遠い。

さすがにその先輩も本気で言ったわけではなさそうだったのだが、ここで「実際に行った写真を送ったら絶対喜ぶだろうな」と思い、その週の土日に訪問して写真を送ってみた。

結果、先輩は大爆笑。しばらくはそのネタで先輩がいじってくれ、飲み会では困らなかった。

これは非常に極端な例なので、決してお勧めをするものではない。しかし、このように一見無意味極まりないことでも、全力を尽くして取り組んでいたら自分にネタがストックされていく。仕事のチャンスがないときにも、会食で、こうした自分の人柄と信頼度を伝えることは十分にできる。そうして得た「打てば響く」という信頼は、貴重な財産となって、一生、あなたの支えとなるだろう。