会食でこそ「素直な人柄」を伝えよう

特に若手社員の方にお伝えしておきたいことがある。

ビジネス会食でクライアントや自社が若手に求めるのは、ビジネス全般における評論では決してない。可愛げだ。

コンサルティングファームでは「チャーム」という用語があるという。この「チャーム」とは容姿についてではなく、素直さ、そして人としての魅力を指す。会食に限らず若手の生存戦略として「チャーム」は極めて重要な素質である。少し話は逸れるが、会食全般に関わる要素なので、丁寧に説明していきたい。

インターネット広告の雄、サイバーエージェントで最も重視される採用基準が「素直でいいやつ」であるのはよく知られている。

ここでいう「素直」とは一体どういうことか。松下幸之助氏によると、素直とは「何ものにもとらわれず、物事の真実、何が正しいかを見きわめて、これに従う心の姿勢」であるという。私自身も後輩を指導する立場になって、「素直さ」は極めて重要な素質であると確信している。

パナソニック創業者・松下幸之助
パナソニック創業者・松下幸之助(写真=Mio0222mio/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

若手のうちは「あるがままの評価」を受け止める

とは言っても若手のうちは、こんなことを考える人もいるだろう(これらは実際に私が新入社員時代に考えていたことだ)。

「こんな仕事をしたくて会社に入ったわけじゃない」
「自分にはもっと可能性がある。別の仕事を任されれば才能を発揮できるはずだ」
「雑務を自分がする必要がわからない。スタッフさんに任せればいいのに」

今振り返ると、このような後ろ向きな考えはすべて、自分の置かれている現実に向き合う勇気がなく、逃げていたから生じていたものだ。

特に自己評価と他者評価に乖離がある場合は、いったん、他者評価が正であると考え、自分の振る舞いやマインドセットを見直すことを強く推奨する。

「言われたことを一度前向きに『なんでもやってみるか』と考えるようになってから、人生が開けた」。私の過去の上司の言葉である。若手のうちは、自分で向き不向きを設定せず、あるがままの評価を受け止め、なんでも取り組んでみるといい。

このように、「現実から逃げず、自分のいい点も悪い点もすべて見つめて、改善に移す」姿勢になれば、会食においても「伸びしろのある若手だ」とクライアント、そして自社ともに評価されるはずだ。