大規模な海外M&Aから国内重視へとシフトするキリングループ。13年1月に発足する中間持ち株会社であり、国内飲料を統括する「キリン」社長も兼務する磯崎功典キリンビール社長に、国内を中心に今後の戦略を聞いた。
――あまり例がない中間持ち株会社のキリンは、これから何を狙っていくのか。
キリンビール社長 
磯崎功典 

1953年、神奈川県生まれ。小田原高校、慶應義塾大学経済学部卒。77年、キリンビールに入社。88年米コーネル大学ホテルスクール留学。99年キリンホテル開発運営の「ホップインアミング」総支配人、2004年比サンミゲル取締役、07年経営企画部長などを経て、10年キリンHD常務。12年3月より現職。

【磯崎】キリンビールだけではなく、清涼飲料のキリンビバレッジ、そしてワイン大手メルシャンの3社をぶら下げるのがキリンだ。3社はかつて上場していたが、いまはキリンホールディングス(HD)の傘下にある。市場が右肩上がりに成長しているときなら、3社が独自に事業展開しても発展するだろう。しかし、いまは少子高齢化で市場の縮小が続いている。それだけに、3社が一体となって知恵を出し合えるような組織力が、これからは求められていく。

2012年はキリンビバレッジが発売したトクホ(特定保健用食品)コーラ「キリンメッツ コーラ」がヒットした。ワクワクする商品を継続して世に出していくためには、3社の研究開発や商品企画を1つに統合し、ものづくりの総合力を上げる必要がある。トクホコーラや(2009年発売の)ノンアルコールのビールテイスト飲料に代表される市場創造型商品をこれからも出していきたい。