日本人の働き方が変わってきた

富士ゼロックス社長 
山本忠人氏

技術者から「チューさん」の愛称で呼ばれるのが、富士ゼロックスの山本忠人社長。今後の事業戦略を聞いた。

――郵便物配送や電子メール配信などを請け負う豪州のサービス会社を昨秋、約307億円で買収した。狙いは。

富士フイルムホールディングスが、豪州のビジネスサービス最大手サルマット社から、ビジネスプロセスアウトソーシング事業を行う子会社を買収した。電気、ガス、水道、通信会社を顧客としエンドユーザーへの請求書や明細書の出力・配送などを請け負っている。

魅力を感じたのは、シェアが高く例えば銀行でも大手行をみな顧客に持っている点。次に請求書や納品書のデータ処理、管理におけるノウハウを有し、最近では電子請求を導入している点。当社にはない技術がある上、彼らは英語でサービスをしている。当社が事業展開しているシンガポールや香港は英語圏であり、すぐにでも新規にサービスを立ち上げられる。

――機器販売からソリューション事業へ、国内から海外へと舵を切っていくのか。

実は2008年に当社のロゴを、それまでのゴシック体から赤い小文字に変えた。それまではハードを売る会社だったのを、お客様の経営課題を解決するソリューションサービス型に転換している最中だ。ソリューションの売り上げ構成比は現状で3割弱だが、来年度には3割に、早ければ17年には5割にする。当社が情報通信大手などライバルと違うのは、直販であり、直サービスということ。お客様とダイレクトに接しお客様ごとの業務フローを理解している。それだけに、困っていることへの解決業務はやりやすい。

一方、海外だが、東南アジア、オセアニア、中国が、ゼロックスグループにおける当社のテリトリーだ。中国をはじめ新興市場では、コピー機などローエンド商品の需要は旺盛で、ソリューションよりも代理店を使った物販が中心だ。海外の売り上げ構成比は43%(11年度)。43%のうち半分はアジアなどの売り上げで、残りはOEMや欧米への輸出。豪州社の買収などから早い段階で、半分にしていく。