日銀当座預金の一部の金利がマイナス0.1%だったのをゼロに、金融機関の「無担保コールレート」を0~0.1%程度で推移するよう促す。3月半ば、日銀は2007年2月以来およそ17年ぶりに利上げを決めた。経営コンサルタントの小宮一慶さんが、「マイナス金利」解除の内容とその影響度、今後の見通しを解説する――。
日本銀行本店
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マイナス金利解除…そのインパクトと今後の見通しは?

日本銀行が3月の政策決定会合で「マイナス金利」を解除しました。今回はその内容とインパクト、さらには今後の見通しを説明します。

マイナス金利の解除とは、具体的には政策金利である「コールレート翌日物」の金利の誘導ゾーンを0~0.1%にするというものです(これまではマイナスだった)。コールレート翌日物というのは、銀行間でお金を1日だけ貸し借りする金利なのですが、そこに日銀が毎日介入することにより、金利を決められた範囲に収まるようにするものです。だから「政策金利」なのです。

例えば、毎月25日は給料日の会社が多く、多くの銀行で預金が引き出されるため、資金不足になる銀行が多いのですが、それを放置すると金利が高くなります。そういった場合に、日銀が資金を翌日物の市場に供給することにより、金利を決められたゾーンに誘導するわけです。逆に資金が余剰となる場合には金利が低下しますから、そういった場合には資金を吸い上げることにより誘導ゾーンから外れないように調整するのです。

もうひとつ、先月の政策決定会合で決まったことは、「イールドカーブコントロール」を止めたことです。通常、中央銀行は、コールレート翌日物のような超短期の金利を政策金利として、あとの期間の金利は自由に任せます。しかし、日銀は、景気の力が弱いということで、「10年国債利回り」にも誘導の目標を定めました。つまり、1日という超短期と10年という長期の両方の金利に誘導目標を定め金利のコントロールを行ってきました。これを「イールドカーブコントロール」と呼んできたわけです。

今般、このイールドカーブコントロール、つまり10年国債の利回りのコントロールを止めることも決定しました。他国の中央銀行と同じように、短期金利のコントロールだけを行うこととしたのです。ただし、長期金利が急速に動くような場合には、10年国債を買うことにより、その上限を抑えることは今後も続けるとしています。つまり、国債買入れ分の資金を市場に供給することで緩和を続けるのです。

長年続いたマイナス金利やイールドカーブコントロールを脱却するということで、異常な状態から一歩踏み出したのですが、これでは、まだまだ不十分であることを認識しておく必要があります。