株価暴落を引き起こしたのは何(誰)だったのか
日経平均株価が8月5日月曜に4451円という過去最大の下げ幅を記録しました(5日終値は3万1458円42銭)。これは、米国株安が世界に波及した「ブラックマンデー」の翌日1987年10月20日を上回り過去最大となりました。
この日を含む8月1日からの3営業日(1、2、5日)でも7643円と実に19.5%の下げ幅でした。そして、一転、6日には前日比で3217円というこちらも過去最大の上げ幅を記録しました。乱高下したのです。
日銀の政策決定会合が7月30、31日にあり、政策金利を0.25%まで上げた直後でもありました。
乱高下の最大のきっかけはこの政策金利0.25%上げの直後、2日に発表された米国の雇用統計です。米国では通常第一金曜日に労働省より前月の雇用統計が発表されます。2日に発表された7月の数字では、失業率が前月より0.2%上昇の4.3%、世界中のエコノミストたちが注目する非農業部門の雇用増減数が、市場予想より大幅に少ない11万4000人と発表されました。この数字を受けて、米国経済は予想していたより悪いと受け止められ、その日のニューヨークダウは一時900ドルを超える下落となりました(終値は610ドル安)。
また、その日にはドル・円レートも4カ月半ぶりに146円台まで上昇しました。その後、週明け5日の東京市場でも上で述べたように日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録し、ドルも141円台まで上昇。その翌日には史上最高の上げ幅を記録するとともに、144円台までドルが戻すという、株式、為替ともに、まれにみる乱高下を短期間で演じました。
この乱高下をどう評価するか。
私は、一時的な動きだと見ています。というのも、今回の下げは、米景気への先行き不安ということが大きいですが、2008年のリーマンショックや2020年からのコロナショックのようなはっきりとした理由がないからです。
リーマンショックの際には、その前に普段なら住宅を買えないような人に「サブプライムローン」という特殊な融資を行うことで異常な住宅バブルが起こっていましたし、コロナショックはご存じのように世界的なパンデミックによる経済停滞が原因でした。今回の株価急落はそれらと比べると先行きに対する「不安」はありますが、大きな原因がありませんでした。(8月13日の日経平均株価は1200円以上値上がりして3万6000円台を回復しました)。
今回、なぜ株式や為替市場で大きな乱高下が起こったのか。株式や為替相場の前提となる日本や米国経済を考察することで、今後の株式相場や為替相場を占いましょう。