石破茂首相率いる新政権が発足し、早々に解散総選挙となりました。選挙後に、各党の議席の動向がどうなる大いに気になりますが、前政権時に金融正常化に向けて長い間マイナスだった政策金利をプラスに転じたものを今後どうしていきたいのかにも注目が集まっています。
金利動向やその見通しは為替相場や株価に大きく影響を与えます。総選挙実施の時期などに関して首相就任前と意見が大きくブレたわけですが、今後の動向もいささか心配なところが少なくありません。
石破ショックとその後の動き
自民党総裁選で石破氏が新総裁に選ばれましたのは9月27日のこと。翌営業日の30日には日経平均株価が一時2000円以上急落し、終値でも1910円の値下がりで、3万7919円となりました。為替相場が141円台まで円高ドル安が進み、これも日経平均下落の原因でした。この一連の株安・円高をとらえて、一部には「石破ショック」と呼ばれました。
そのひとつの要因は、総裁選の有力なライバルだった高市早苗氏が現状、利上げに慎重な緩和論者で、決選投票に進んだ際に146円台の円安に進み、株高となりました。
それに対して、石破氏はこれまでの日銀の段階的利上げを支持しており、市場としては今後の経済政策に少なからぬ懸念があったのは確かです。とくに石破氏は、以前に「株式の売却益への課税を強化する」ことを発言しており、それも投資家の心理に影響しました。
しかし、石破首相は、「石破ショック」があったことも考慮してか、自民党内や世間の声を受けてか、一転して利上げに慎重な姿勢を鮮明にしました。とくに、首相就任後の初の日銀の植田和男総裁との会談では、「利上げの時期ではないと思う」と緩和を継続することが望ましい旨を伝えました。
日銀としても、むげに新首相の意向に逆らうことはしにくいので、当面は現状の政策金利の上限0.25%を維持するものと考えられます。10月30日、31日の政策決定会合では利上げはないと考えます。この一連の動きを受け、為替市場は148円前後まで円安が進み、日経平均株価も3万9000円程度まで反発しています。