金利上昇で住宅ローンは「変動か固定か」の正解

上記のことを考えれば、金利はこの先上がると考えるのが道理にかなっているでしょう。「自然利子率」という考え方があります。これは、景気を過熱もしないし、冷ましもしない金利のことをいうのですが、日銀内部には2%という意見が根強くあると聞きます。そこまで高くなくとも1%ないし1.5%という意見もあります。それくらいの金利が妥当ということです

筆者も現状のインフレ率(2%程度)を考え、短期金利を2%程度まで上昇させるのが適当と考えますが、長年、ゼロないしはマイナスの金利に慣れ切ってしまった日本では、いきなり2%の金利となるとかなりの影響やダメージが出ることは容易に想像できます。

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日銀もそのことは十分に承知しており、また、来るべき衆議院選挙などの政治への配慮を考えれば、この夏に0.1%、秋から冬にかけてさらに0.1%程度上げることが想定できます。つまり、2回程度の金利上昇で、年末には0.2~0.3%程度まで短期金利が上がるということです。

さらに、景気の大きな後退がなければ、来年2025年末には1%程度まで短期金利が上昇する可能性が考えられます

生活面では、短期金利の上昇は変動物の住宅ローン金利に影響を及ぼします。今回のマイナス金利解除では、変動物の住宅ローン金利にはそれほどの影響はありませんでしたが、今後は上昇する可能性があります。

その理由は、短期金利が上昇すれば、普通預金金利もそれにつれて上昇するからです。今回の利上げでも、0.001%だった普通預金金利が大半の銀行では0.02%まで20倍上昇しました。今後も短期金利が上がれば、普通預金金利の上昇が見込めます。

銀行としては、調達金利が上昇するわけですから、銀行にとって資金の運用である住宅ローン金利も上昇するわけです。固定金利は、長期金利(10年国債利回り)に連動して動きます。先に説明したように日銀は「イールドカーブコントロール」、つまり長期金利の誘導目標を廃止したのでこちらも少し上昇傾向だと思われます。住宅ローンを使っての住宅購入を考えている人は、固定金利を利用するか、現状はそれより比較的低い変動金利を選ぶかの難しいところですが、安心を買うなら固定金利を選ぶべき時かもしれません。

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