これからの日本の政治はどうなるのか。文筆家の古谷経衡さんは「東京都知事選での石丸伸二氏の躍進から、動画やSNSのみで投票先を決める30~50代が大量にいることがわかった。日本の将来が明るいとはとても言えない」という――。
東京都知事選で訴えたいことを掲げる広島県安芸高田市の石丸伸二前市長=2024年6月19日午後、東京・内幸町の日本記者クラブ
写真提供=共同通信社
東京都知事選で訴えたいことを掲げる広島県安芸高田市の石丸伸二前市長=2024年6月19日午後、東京・内幸町の日本記者クラブ

「石丸伸二」が若者から圧倒的な人気を得たシンプルな理由

言うまでもなく都知事選挙での真の勝利者は石丸伸二氏である。彼の露出を見よ。今や時の人だ。約166万票を獲得したことの衝撃波は今も響き続けている。

この中で、各種の出口調査により世代別の石丸支持がおおむね明らかとなり、特に10代(18・19)、20代からのそれが強いと出ている。しかし注意しなくてはならないのは、少子高齢化により若者有権者の数は少ないので、絶対数としての石丸支持の世代は、有権者のボリュームゾーンである、30、40、50代であったことである。石丸支持層は、印象よりも年を取っている。とはいえ、それを差し置いてもやはり若者からの強い支持があったことは動かしがたい事実だ。

「うちの息子が動画を見て石丸のファンになった」。こういう声を選挙後、本当によく聞くようになった。その場合の子息の年齢は大体においてティーンである。居住地も東京に限らない。全国の若年層の中には、主に動画で石丸に触れ、感化されているものが多い。

この理由は実にシンプルである。若年層は総体的に知識量が少なく、人生経験も途上な場合が多い。よって極めて単純で抽象的なフレーズを動画の中で発する石丸に惹かれるのだ。

裏を返せばこのような若年層は、小池百合子氏や蓮舫氏の言っていることすら「小難しく」感じる。彼女たちの言っていることが良く理解できないし、長いと感じる。それに対して石丸は、具体的な政策を言わず、日本の危機や東京を動かす、といった漠然としたこと「のみ」しか言わない。それが若年層の心をつかんだのだ。