※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
※初出時、住居費の計算が間違っていました。訂正します。(2024年3月8日10時40分更新)
高遠さん(仮名/47歳)のケース
本人 会社員(年収700万円)
妻 会社員(年収600万円)
子供 保育園
住まい マンション(住宅ローン月18万円 ※修繕積立金などを含む)
共働き夫婦にとっては無理のない返済計画だった
固定金利の上昇がじわりじわりと続く中、すでに住宅ローンを組んでいる人、また、今後、家の購入を考えている方の間から、悩みを抱える声がたくさん届いています。
高遠裕太さん(仮名/47歳)は、大手PR会社に勤務する会社員。昨年、久しぶりに顔を見せてくれたのですが、激務と職場の人間関係で追い詰められ、大きなストレスを感じていました。休職や転職も考えたものの、躊躇の一因となっていたのが、住宅ローンです。
高遠さんはお子さんの誕生と同時に5年前、7300万円で都内のマンションを購入。1300万円を頭金で入れ、残りの6000万円を35年で借り入れしました。返済額は、月15万5000円。これに修繕積立金を加えると、住居費は毎月18万円になります。共働きの妻の収入と合わせると世帯年収は1300万円あったので、高遠家にとっては、金額的には無理のない返済計画でした。
とはいえ、住宅ローンの返済や子どものことを考えると、休職や年収が下がるかもしれない転職にも踏み切れずにいました。そんな時ちょうど、「金利引き上げ」のニュースを目にしたことで、高遠さんの不安に拍車がかかっていたのです。
住宅ローンの固定金利は上昇傾向
日銀は昨年、長期金利の事実上の上限を「1%をめど」に引き上げました。これにより、住宅ローンの固定金利が上昇傾向にあります。ここ数年、1.3%前後で推移していた固定金利サービスの「フラット35」も、2%近い水準まで金利を上げています。
一方、変動金利に影響を及ぼす「マイナス金利政策の解除」がまもなく行われるのでは? というニュースも日々飛び交っており、変動金利が今後どうなるかは、注視が必要な状況です。
このマイナス金利政策によって、現在は9割の人が変動金利を選択しているとも言われています。まさに高遠さんも変動金利での借り入れだったことから、「急激に金利が上がったらローンの返済ができなくなるかも」と、不安を抱えていたのです。