※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
新NISAによる投資をする層の広がり
2024年からはじまった「新NISA」。楽天証券では、2024年1月末時点において新NISA口座開設者の半数以上を30代以下が占め、男女別では女性が5割以上だったと発表しており、投資をする層の広がりを感じる結果になっています(楽天証券「2023年12月期決算説明会資料」2024年2月9日)。
そこで今回は、新しい少額投資非課税制度(=新NISA)で投資をはじめた初心者が陥りがちな失敗や注意点を挙げてみたいと思います。
最初に、「新NISA」とこれまでの「NISA」の違いからおさえておきましょう。
新NISAでは、制度が恒久化され、非課税期間も無期限になりました。さらに、年間投資上限額が引き上げとなり、40万円だった「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」として上限が120万円に拡大。また、これまで年間投資上限額が120万円だった「一般NISA」は「成長投資枠」として240万円が上限に。そして、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用可能になったことから、新NISAの年間投資上限額は最大360万円まで拡大されました。
「投資枠の復活」を活用して投資を続ける
そして、私が画期的だと思ったのは、非課税限度額における「投資枠の復活」です。新NISAでは、生涯非課税限度額の上限が1800万円となっています。たとえばつみたて投資枠と成長投資枠を併用して360万円を毎年投資した場合、5年で非課税限度額上限の1800万円になりますよね。それを、1年後に2000万円に増えたタイミングで売却したとしましょう。すると、売却した翌年に再び1800万円の非課税投資枠が復活する、というのが「投資枠の復活」の仕組みです。
ここでのポイントは、買付金額ベースでの復活である点。2000万円に増えたからといって2000万円が非課税投資枠として再利用できるのではなく、あくまで買付時の金額である1800万円がベースです。50万円投資して3年後、150万になった時に売却した場合は、買付額の50万円が翌年、非課税投資枠として復活する、ということです。
なぜこれが画期的かといえば、非課税というメリットを受けながらNISAを利用した賢い資産運用を続けることが可能になるからです。実際、証券会社の社員の方も、「儲かったタイミングですぐ売って、日用品に使っています。最近も売却益で冷蔵庫を買ったばかりですよ」と話してくれました。たとえば30万円投資して60万円になった時に売却すれば30万円の利益となり、新NISAであればまるまる非課税で受け取れますので、この30万円を元手に冷蔵庫やテレビを買う、ということですね。
売却後も年間の非課税投資枠に余裕があれば、すぐに投資を始めることができますし、非課税限度額上限まで利用していたとしても、上記のように元本ベースで翌年に非課税枠が復活するので、再度非課税での投資ができるわけです。
※翌年に非課税枠が復活しても年間で投資できる金額は最大360万円まで。