中学受験にはお金がかかる。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「受験勉強は長期間に及ぶケースが多く、最後は何が何でも受かりたいと熱くなってしまいがちだ。塾や家庭教師に月40万円を使っている家庭もあった。受験に使えるお金はあらかじめ別口座に移しておき、予算内で挑戦することを親子で話し合ったほうがいい」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

電卓を操作する女性
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塾代と家庭教師代で月40~50万円の家庭も

お金のプロとして仕事をしている私ですが、子どもの中学受験で、まさかの“課金沼”にハマってしまいました。周囲を見ても、「こんなに塾代を払ってるなら、小学校から私立に行っても同じだったのでは?」というケースが散見されています。

今回は、自戒を込めて、中学受験にかかるお金と、受験に向く家庭の傾向をお伝えいたします。

中学受験をテーマにした『二月の勝者-絶対合格の教室-』という作品がありますが、私の周りではまさに“リアル二月の勝者”が繰り広げられており、某有名私立中学1本で挑んだ佐藤家(仮名)では、6年生の1年間、有名塾と家庭教師をそれぞれ週5回で追い込みをかけ、月40~50万円を投じていました。

結論から申し上げると、佐藤家は第1志望にして唯一の志望校であった難関校に合格。見事に苦労が実ったわけですが、佐藤家のようなS級クラスではない中堅校を狙っていたご家庭も、最終盤でなんとかわが子を押し上げたいと、塾や家庭教師に月40万を使っていました。

追い込みの塾代に宿泊費用、面接の服まで課金…

私自身、1月の追い込み時期は、「志望校そっくり模試5本勝負」なる対策コースに7万円をバーンと課金。予定していなかった費用でしたが、その時は、子どもの頑張りに応えたい一心で……。ママ友の一人は、1時間5000円で教えてもらっていた家庭教師から、受験のプロと言われる1時間3万円の先生に変えたことで、子どもの成績が飛躍的にアップ。「背に腹は代えられない」と苦笑いで話していました。

そしていざ本番になると、塾や家庭教師代以外にもさまざまな費用が発生することもわかりました。まず、受験会場に前乗りするための宿泊費。通学範囲が広くなる中学受験では、志望校が他県であることは珍しくありません。1、2月の受験シーズンは天候・交通・体調といった面で不安要素が多いため、万全を期すべく、受験生を持つ各家庭が会場近くのホテルに前泊して試験当日に備えるのです。

加えて受験直前には、「ファストファッションブランドで面接に行くと落ちる」「体操服袋は百均NG」といった“お受験情報”が飛び交い、デパートの高級ブランドで家族分の“お受験ルック”を買い求めるご家庭も多数でした。