安心な老後のために注意すべき投資は何か。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「2002年10月に銀行が保険の窓口販売を始めると急速に広がった金融商品に多くの人が苦しめられている。アメリカでは、保険会社そのものが潰れて、加入者は泣き寝入りというケースも出ている」という――。

※本稿は、荻原博子『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

銀行などの待合室
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老後を危うくする高リスクの投資商品

世の中には、投資をして悔やんでいる人が多くいます。

投資で失敗したら、老後は不安しかありません。

ここからは、「安心な老後」のために、近寄ってはいけない金融商品をご紹介しましょう。

多くの人が苦しめられている金融商品のひとつが、「変額個人年金保険」です。

変額個人年金保険は、1999年に、「運用次第で、老後資金が増える」という触れ込みで登場し、2002年10月に銀行が保険の窓口販売を始めると急速に広がりました。

2016年には242万件と個人年金保険全体の約12%を占め、瞬く間に20兆円規模の巨大マーケットに。変額個人年金保険のキャッチフレーズ「豊かな老後」に惹かれて加入した人が多かったようです。

変額個人年金保険の仕組みは、加入者から預かったお金を株や債券などで運用して、その運用結果次第で老後の年金額が変わるというもの。ここに保険としての保障が付き、加入中に死亡すると一定額の死亡保険金が出ます。

つまり、「投資信託+保険」のような商品です。

ただし、取扱手数料が高く、加入した時点で「契約初期費用」として1.7〜6%を支払います。

さらに、「保険」の機能に対して保険関係費用として年0.2〜3.2%程度と、「投資信託」の機能に対して運用関係費用として0.04〜2%程度、「年金」の機能に対して年金管理費用として年金金額の1%程度の手数料がかかります。

この時点で、「豊かな老後」が担保されるのか疑問符が付きます。