加入者よりも先に、保険が売り止めになることも

変額個人年金保険はかつて、投資に失敗して「売り止め」(販売停止)という状況に追い込まれたことがあります。

2009年に、日本の変額個人年金保険の元祖ともいえるハートフォード生命保険が、新規契約受付を終了したのを皮切りに、アリアンツ生命保険、三井住友海上メットライフ生命保険、三井生命保険、クレディ・アグリコル生命保険、アイエヌジー生命保険、住友生命保険などが扱っていた商品が次々と売り止めになりました(現在は吸収合併などにより、社名変更になっているところも多数あります)。

販売停止になれば、新しい資金が入ってこないため、運用が難しくなります。

じつはその時点で、多くの保険会社が変額個人年金保険の販売をやめて、運用先を必ず利息が入る国債などの債権に切り替えてしまいました。

そんなお粗末な商品を販売しているくらいですから、アメリカでは、保険会社そのものが潰れて、加入者は泣き寝入りというケースも出ています。

ハートフォード生命保険の親会社であるアメリカのハートフォードは、運用成績の悪化で身動きが取れなくなり、米国財務省から資本注入を受けています。

日本のハートフォード生命保険も、2014年7月に日本法人の全株式をオリックス生命保険に売り渡し、翌年、吸収合併されました。

年金とは本来、皆さんの老後を支えるためにあるはずのものです。

しかしながら、老後を支えてもらう前に、加入している保険会社が吸収合併されるリスクがあるということを、肝に銘じておいたほうがいいでしょう。

「豊かな老後」を
保険会社任せにしてはダメ!

「マンション投資」は老後不安の種になる

私が30年以上前から「やってはいけない」と訴え続けてきたのが「マンション投資」です。

しかもここにきて、「シェアハウスサブリース」という、マンション投資と同じような仕組みの投資が問題視されています。

マンション投資の仕組みは次のとおりです。

銀行から借りたお金で、投資用マンションを購入。それを賃貸物件として人に貸す。

家賃がローンの返済額を上回った分は収入になり、ローンを返済後は、手数料を差し引いた家賃は全額自分のもの。老後は家賃収入で左団扇というわけです。

マンション不動産を勧めるビジネスマン
写真=iStock.com/RRice1981
※写真はイメージです

けれど、こんなうまい話があるはずありません。

現実的には、こんなことがよく起こります。

池袋駅から徒歩11分、5階建て15戸のマンションで築29年。外壁や階段などの共用部分もきれいに吹き付け塗装がされていて、一見するとそれほど古いマンションには見えません。

部屋もフルリノベーションされていて、むしろ新しく感じる。4畳半のダイニングキッチンと6畳のリビングは清潔なフローリングが張られ、トイレは温水便座で、風呂はシステムバス。南にベランダもあって光も射し、1人なら快適に暮らせそうな気がします。

築年数は古いですが、家賃は7万円と格安なので、入居者からクレームが入ることもなさそう。

たとえば、こんなマンションが1室1000万円で売りに出ていたとします。

不動産業者は、こう言うでしょう。

「家賃7万円なら、12年で1008万円の家賃が入り、それ以降は儲けになります。老後は、毎月7万円の家賃が、年金代わりになりますよ」

こう聞くと、老後のために1つくらいは持っておいてもいいような気がしてきます。退職金を思い切って投資する人もいるかもしれません。

じつは、ここにはとんでもない落とし穴が潜んでいるのです。