月2万~3万円の価格上昇に耐えられるか

結論から言えば、変動金利を続けるのであれば、この月2万~3万円の価格上昇に耐えられるかどうかが、判断のポイントになるでしょう。高遠さんと同じく、現在5000万~6000万円の借り入れをしている方の場合、金利が1.5%~2%上昇すると、返済額が月々3万~4万円ほど上がるイメージです。この金利上昇のリスクをとれるのであれば、ローンの借り換えはせず、変動のままいくのもひとつの手、ということです。

一方で、リスク回避をしたい方は、現在1.9%ほどの固定金利に切り替えるのも、ありでしょう。過去35年間で見た場合の平均の固定金利は2.7%前後ですから、現在、上昇傾向にあるとはいえ、まだ2%ほどなので、低水準であることはたしかです。業界でも、安全をとるファイナンシャルプランナーたちは今、固定金利をおすすめしていますね。

家の模型と積み上げられたコイン、住宅ローンのイメージ
写真=iStock.com/marchmeena29
※写真はイメージです

結局は「家計の対応力」にかかっている

高遠さんは結局、固定金利へ借り換えをしました。変動金利0.5%から1.9%の固定金利への借り換えだったのですが、繰り上げ返済を進めていたことで、ローンの残高が当初の借入金額よりも減っていたため、月々の返済額はほぼ同じになりました。今後金利はどうなるかわかりませんが、高遠さんは、心理的不安を取り除くことに重きをおきたい、ということでした。今後は彼の回復を待ちながら、年収アップを見据えた転職活動をする方向で動くそうです。ローンの借り換えには、20万~100万円の費用もかかりますし、ケースによっては、返済額が増えることもあります。

つまるところ、金利の変動によるリスク回避は、家計の対応力にかかっている、とも言えます。蓄えがまったくない状況ではベストなタイミングで借り換えや繰り上げ返済もできず、金利上昇による返済額アップにも対応できません。金利がどう動いても柔軟な対応ができるよう、今後は特に、情報収集と家計管理に気をつけたいところです。

(構成=小泉なつみ)
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