東京の私鉄沿線には「格差」がある。フリーライターの小林拓矢さんは「東京の私鉄沿線のなかでは、東急、京王、小田急の3沿線がブランドタウン化している。とりわけ高級住宅地は東京の西側に集中している」という――。(第1回)

※本稿は、小林拓矢『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)の一部を再編集したものです。

一ノ割駅付近を走行する東武鉄道の電車
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高所得者はどの沿線で生活しているのか

さまざまな統計を見ていると、算出の方法には違いがあるものの、所得が高い人が暮らしているエリアは東京都の中心部、城南エリア、中央線沿線、神奈川県の東急線沿線といったところが多い印象を受ける。

私鉄沿線という観点で見ると、京王・小田急の都心寄り、東急電鉄全線、といったエリアが高所得層の暮らす地域となっているのではないだろうか。

都心部のタワーマンションに富裕層が暮らしたがる傾向はあるものの、そうでもない昔からの住民は、私鉄沿線を離れない。とくに、田園調布や日吉といった古くからの高級住宅街を抱える東急東横線沿線は、大卒の大手企業従業員が多く、その層が住み続けていることから、平均所得が多い街を走っているということになる。また、横浜市の青葉区などを走る東急田園都市線は、以前に郊外に移り住んだ高学歴・高所得層が暮らし続けている傾向がある。

その他、成城学園などの高級住宅地を抱える小田急や、仙川せんがわといった古くからの住宅地のある京王も、沿線に平均所得の多い街があるといえる。高級住宅地の多くは、中央線と東海道線の間のエリアにあり、一時は「大東急」となったエリアに存在しているといえる。