花粉症を治す方法はないのだろうか。腸内細菌学者の小柳津広志・東大名誉教授は「花粉症は炎症反応であり、すぐに症状が現れるI型アレルギーだ。I型アレルギーは腸内で酪酸菌を増やせば抑えることができるので、酪酸菌のエサとなる食材をしっかり摂ればいい」という――。(第1回/全3回)
※本稿は、小柳津広志『東大の微生物博士が教える 花粉症は1日で治る!』(自由国民社)の一部を再編集したものです。
花粉症は炎症反応による病気にすぎない
すべての病気は炎症を起こしますが、炎症に登場する免疫細胞はさまざまです。花粉症の炎症は、I型アレルギーというものです(図表1)。
人の皮膚や粘膜に存在するマスト細胞は、花粉を認識すると、大量のヒスタミンを放出。ヒスタミンは鼻では鼻水を出させ、目では痒みを生じます。
花粉症の人は常に花粉に対するIgE抗体を提示するマスト細胞を粘膜に持っていますので、花粉がつくとすぐにヒスタミンが出て、くしゃみをして鼻水を垂らします。
I型アレルギーはすぐに反応するため、即時型アレルギーと呼ばれています。子どもが蕎麦を食べるとアナフィラキシーショックを起こし、スズメバチに一度刺された人がもう一度刺されるとアナフィラキシーショックを起こすのも、I型アレルギーです。
アレルギー反応は、大きく4種類あります(図表2)。「すべての病気は炎症を起こす」と言いましたが、アレルギー反応は獲得免疫が関わっている炎症反応の一つなので、誤解しないようにしてください。
免疫反応は侵入した外部の生き物や物質を攻撃するシステムですが、生まれた時に持っている免疫反応は自然免疫と呼ばれています。
自然免疫の担当者はマクロファージ、樹状細胞、好中球などの貪食細胞とナチュラルキラー細胞(NK細胞)です。獲得免疫は生まれた時には侵入者に対する攻撃態勢が用意されておらず、侵入者に応じて作られて記憶される免疫です。