アレルギー反応には4つの類型がある

獲得免疫の担当者はBリンパ球とTリンパ球です。マクロファージ、樹状細胞、好中球は獲得免疫にも関わっています。

I型以外のアレルギーは、さまざまな自己免疫疾患を起こす炎症です。

鼻をかむ人のイメージ
写真=iStock.com/RyanKing999
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まずは、アレルギー4種類の違いを理解してください。

「II型アレルギーは自分の細胞成分や侵入した物質に対する抗体ができ、これに補体(抗体の攻撃を強めるタンパク質群)がくっついて抗原を攻撃する」と憶えてください。

「III型アレルギーは自分の細胞成分や侵入した物質に対する抗体ができ、抗原、抗体、補体がくっついた免疫複合体が組織に沈着して障害を起こす」と憶えてください。

「IV型アレルギーは自分の細胞に外来の物質が侵入して細胞障害性T細胞(Tc細胞)や活性化マクロファージが攻撃する」と憶えてください。

II型とIII型はさまざまな自己免疫疾患、しかも重篤な疾患を起こします。これらの病気の治療法を開発すれば国内の数百万人の患者を救うことができます。I型アレルギーは比較的軽症な疾患ばかりですが、これに苦しむ国民は推定6000万人と言われています。I型はII型、III型アレルギーよりけた違いに多く、私たちの生活の質を著しく下げています。I型アレルギーは欧米の先進国でも罹患りかん率が非常に高く、大変問題となっているのです。

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大腸で酪酸菌が増えていると、I型アレルギーをほぼ抑えることができます。

酪酸の増加がI型アレルギーを抑えるメカニズムはよくわかっていませんが、私はTレグ細胞の増加が関係している可能性が高いと考えています。Tレグ細胞は、免疫の暴走を抑える作用があるという報告もあります。

IPEX症候群という遺伝病がありますが、この病気の人はTレグ細胞を作れません。IPEX症候群は非常に稀な遺伝病です。なぜなら、幼児期に重篤な自己免疫疾患やアレルギーになって死んでしまうからです。

幼児期に亡くなってしまうと、子孫が残りません。ですから、IPEX症候群の欠損遺伝子はどんどん減少していきますので、非常に稀な遺伝病なのです。IPEX症候群の人が幼少期にさまざまな重篤な自己免疫疾患やアレルギーになるということから、Tレグ細胞の欠損がこれらの病気を起こすことはほぼ間違いありません。