『天才‼ ヒマつぶしドリル』(Gakken)シリーズが、累計25万部という異例のヒットになっている。最大の特徴は算数の問題が「パズル形式」になっていること。ドリルの作者で、学習塾「りんご塾」を主宰する田邉亨さんに、パズル要素を取り入れた狙いを聞いた――。(前編/全2回)(聞き手・構成=ミアキス代表 梶塚美帆)
『天才‼ ヒマつぶしドリル』(Gakken)シリーズの著者・田邉亨さん
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『天才‼ ヒマつぶしドリル』(Gakken)シリーズの著者・田邉亨さん

勉強ギライの子が喜んで取り組むパズル

――なぜ算数の指導にパズルを取り入れたのですか?

【田邉】子どもが喜んで解くからです。

僕は2000年にりんご塾を開業しました。当時の僕のように無名の者が塾を開くと、勉強が苦手な子たちが入塾するんですね。彼らは大手学習塾などの他の塾で成績が悪く、辞めてきた子なのです。だから、劣等感があり、学校でも勉強に自信がありません。

それで、彼らに自信をつけさせようと思い、学校から出る夏休みや冬休みの宿題を見てあげていました。その時に、ほかの問題は「わからないから教えて」というのに、宿題のドリルにおまけ的についているパズルや迷路は自分から解くことに気づきました。

それを見て僕は「彼らはやる気がないわけでもない、勉強したくないわけでもない。算数の問題がつまらないのかもしれない」と気付きました。そこで、小学校の単元を全部、パズルにできないかと考えました。

――パズルだけで全単元が教えられるものでしょうか?

【田邉】パズルだけだと難しいのですが、迷路やクイズにすると算数の全単元がカバーできました。