『天才‼ ヒマつぶしドリル』(Gakken)シリーズが、累計25万部という異例のヒットになっている。最大の特徴は算数の問題が「パズル形式」になっていること。このため子どもが進んでドリルを解いていくという。ドリルの作者で、学習塾「りんご塾」を主宰する田邉亨さんに学習指導のコツを聞いた――。(後編/全2回)(聞き手・構成=ミアキス代表 梶塚美帆)
『天才‼ ヒマつぶしドリル』(Gakken)シリーズの著者・田邉亨さん
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『天才‼ ヒマつぶしドリル』(Gakken)シリーズの著者・田邉亨さん

自分の成長が感じられる仕組み作りが大事

前編から続く)

――子どもが自発的に勉強に取り組むようにするにはどうしたらいいでしょうか。

【田邉】前編でお話ししたように、「頭を使って解くから面白い」と思わせることです。もうひとつ大事なのが、自分の成長がわかる仕組みを作ることです。

りんご塾では、数学検定・算数検定、思考力検定、漢字検定、月々の模試、そして年に1回の算数オリンピックへの参加を勧めています。このうちのどれでもいいから、合格したり結果が出たりすれば成長が感じられますし、勉強を続けるモチベーションになります。

特に数学検定・算数検定は、必要な努力ができれば合格できる検定です。たとえば6級なら「小学6年生程度の問題が45%、小学5年生程度の問題が45%、その他の問題が10%」といったように出題レベルが明確ですし、合格基準も全問題の70%程度と決まっているからです。

自分の努力が認められて、合格証をもらったら、どんな子でもやる気が出ますし勉強が続きます。

――すでに勉強ギライになってしまっている子でも効果はありますか。

【田邉】勉強を投げ出してしまっているように見える子は、勉強が難しくて、「自分にはできない=できないから成長できない」と思って、そのような態度でいるわけです。

だから、「できそう=成長できそう」と思える課題を出してあげればいいんです。その子に合った目標設定をすることが非常に大切です。

ただ、その子に合った目標設定をするといっても、できないからといって、無配慮に1学年下の問題をあげてはいけません。子どもは大人が思っているよりも、学年を意識しています。自分が小学2年生なら、3年生は大先輩で、1年生はひよっこだと思っているから、前学年の勉強に戻るのはプライドが傷つくんですね。

プライドを傷つけずに前学年の勉強をさせたいとき、パズル教材は役立ちます。「これはパズルで、1年生の勉強ではないから恥ずかしくない」と思わせることができるからです。