「スケジュールを変更させていただきます」は適切である
× 臨時休業させていただきます
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○ 臨時休業いたします
先ほど、「休まさせていただきます」という言い方は、避けるべき日本語表現であると記しました。ただ、「させていただきます」という言い方は、ある条件のもとで使用される場合は、適切な日本語として扱われます。
文化庁の国語審議会は、「敬語の指針」という答申で「させていただく」という表現について、
1.相手側または第三者の許可を受けて行う
2.そのことで自分自身が恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合
という場合に使うのであれば、それは使用として適切だと記しています。
たとえば「スケジュールを変更させていただきます」「一週間以内にお返事がない場合、契約は破棄させていただきます」という言い方は、「相手の同意を得て、なおかつ、そのことで自分が恩恵を受ける」ので適切です。
ところが「臨時休業させていただきます」の場合は、「相手の許可」という点でも「自分が受ける恩恵」という点でも当てはまりません。したがって、これは「誤用」となるのです。
「させていただく」と言うときに、この二つの条件に当てはまるかどうかを、直感的に判断できるようになるためには、言葉遣いが上手な人と接する機会を増やすことがもっとも効果的です。
目下や年下の人に対して使う言葉は使ってはいけない
× おわかりいただけましたでしょうか
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○ ご理解いただけたでしょうか
上司、あるいは取引先の人に、自分が言いたいことをわかってもらえたか確かめたいとき、どのような尋ね方をしますか。
また、顧客に何かを説明して、本当に理解してもらえたのかどうかちょっと不安なとき、どんなふうに尋ねると相手に不快感を与えないでしょうか。
「おわかりいただけましたでしょうか?」「おわかりでしょうか?」「おわかりになりましたか?」と尋ねる人がいますが、こう言われると「わかっているんですか?」「わかったんですか?」というのを、婉曲的に「おわかり」という丁寧な言葉にして言っているだけではないかと、不愉快に思う人も少なくありません。
これは、「わかる」が、目下や年下の人に対して使う言葉であることがひとつの原因です。「わかった?」と、お母さんやお父さんが子どもに対して使うことが多いのはご存じでしょう。
上司、取引先、顧客からすれば、馬鹿にされたような気になってしまうのです。
こんなときは「ご理解いただけたでしょうか?」と尋ねるのがもっとも効果的です。聞かれたほうは、「理解」という言葉によって、全体的な把握ができたかどうかをきちんと整理して客観的に判断しようと、自ら意識できるようになります。
目下や年下の人に対して使う言葉を使わないようにすることは、ビジネスシーンではとても重要な要素のひとつです。