慢性的な腰痛を改善するにはどうすればいいか。理学療法士の大橋しん氏は「人間の体のつなぎ目は腰ではなく股関節。しゃがむときにそれを意識すると体は楽になる」という――。

※本稿は、大橋しん(著)、芦田京子(監修)『筋緊張がとれ、自律神経が整う イラスト見るだけ整体』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

在宅勤務で腰痛を負う日本女性ビジネスウーマン
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靴下を履くのも苦労するほど悪化した腰痛

「仕事が原因で腰痛になった」というのは、よく聞く話ですね。この腰痛ですが、労働災害として認定されにくいことは、ご存じでしょうか? 日常で腰痛の要因になりそうなことが山ほどあって、「労働が原因」と言い切れないのです。

腰痛の生涯罹患率は84%といわれ、ほぼすべての人が経験します。そのためか、「よくあること」と軽視されたり、「仕方のないこと」とあきらめられたりしがちです。

しかし、腰痛でしゃがめない、短時間しか座っていられない、車に乗りたくない、外出が苦痛になる……といった理由で生活の質を著しく阻害される場合も少なくないのです。

介護職のBさんもその一人で、20年もの間、慢性的な腰痛に悩まされてきました。

やがて、靴下を履くのも苦労するほど腰痛は悪化し、整骨院や整形外科へ行くようになりました。湿布を貼ったり、マッサージや電気治療を受けたりするものの、効果はその場限り。腰痛はまったく解消されません。

何か根本的なアプローチが必要なのではと思い、筋トレなどのエクササイズをやってみましたが、痛みは増すばかりだったのです。

私はBさんの話を聞いて、「仕事のどのときが辛いですか」と尋ねると、しゃがむ姿勢が一番つらいとのことでした。