体を折り曲げる“ジョイント”はウエストでなく股関節

しゃがむとき、どこから体を折り曲げるか。この答えはとても重要です。それがどこであるかが、体の使いやすさや腰痛にも関わってきます。もしその部分がウエスト(腰)だとしたら……、そこは体を折りたたむための関節ではありません!

その部分は腰椎ようついという背骨の一部で、しなって上下からの衝撃を和らげるのに適しています。しゃがむときに腰を使い続けると、後ろの筋肉が頑張りすぎて、かたくなってしまいます。

しゃがむときに使いたいのは、股関節。股関節はちょうど身長の真ん中に位置しています。ノートパソコンや、ひと昔前のガラケーなど、折りたたみ製品を思い浮かべてみてください。折りたたむ繋ぎ目(ジョイント)はどれも真ん中でしょう? 体をコンパクトにするにも、真ん中が最も適しているのです。

股関節を使ってしゃがめるようになったら、腰に負担もかからなくなり、日常生活でもスポーツでも、もっと体を効率よく動かせるようになります。

美しく見えても「反り腰」が正しい姿勢ではない理由

しゃがむときに大切なのが、骨盤をかためないことです。

姿勢に悩む人は、おおむね図表2の「反り腰」と「猫背」の2種類に分けることができます。それらに共通しているのは「骨盤がゆらいでいない」ことです。

私の提案するよい姿勢の3要素は「美しい」「ラク」「動きやすい」です。反り腰は「美しい」場合もあり、よい姿勢と言われることもあります。しかし、股関節と腰をかためているため、他の2つの条件を満たすことができません。

「ラク」「動きやすい」を満たすには、骨盤がゆらいでいないとダメなのです。骨盤がゆらいでいないということは、頑張っている筋肉で固定されているか、重さでつぶされているということ。いずれにせよ、それではバランスの要である背骨が自由に動けなくなります。

骨盤をカチッとかためているロックを外すために、図表2のように股関節・骨盤がわずかに前後にゆれているとイメージしてみましょう。

自分でゆするのではなく、「ゆれてるみたい……?」ぐらいでOK。ちょっとした思い込みくらいで、軽くてよいので、自分の動きを味わってみてください。