中国発のドリンクスタンド「蜜雪氷城」(ミーシュー)が勢いを増している。中国国内では2万8000店舗、海外には3000店舗を展開し、今夏には日本にも進出した。ITジャーナリストの牧野武文さんは「ビジネスモデルの最大の特徴は、フランチャイズ加盟費が無料という点にある」という――。

中国ではソフトクリームが60円、タピオカティーが120円

今年、東京の原宿、池袋、高田馬場に、中国のドリンクスタンド「蜜雪氷城」(ミーシュー)が相次いで開店した。

日本での知名度はほとんどないものの、中国国内では2023年8月時点で2万8000店舗を突破。シンガポール、ベトナム、韓国など海外にも3000店舗以上を出店する巨大チェーンだ。

2021年の営業収入は103.5億元(約2080億円、レートは取材時。以下同)、純利益19.1億元(約380億円)。利益率18.5%という高収益フランチャイズ・チェーンであり、現在、深圳証券取引市場に上場を申請中だ。

蜜雪氷城の最大の特徴は価格の安さ。中国では、レモネードが4元(約80円)、ソフトクリームが3元(約60円)、タピオカティーが6元(約120円)という常識外の安さだ。

その価格戦略は日本でも踏襲されている。今年8月にオープンした原宿店では、高山四季春こうざんしきしゅん(烏龍茶の一種)、原葉紅茶といった中国茶が100円(税込み、以下同)、雪王スノーキングマウンテンソフトが160円、各種タピオカミルクティーも300円台で販売していた。

原宿店。古着屋が並ぶ裏原宿にひっそりとある。目立つ行列はないが、客は絶え間なくやってくる。現在、国内では池袋、高田馬場の3店舗が営業中だ。
筆者撮影
表参道店。目立つ行列はないが、客は絶え間なくやってくる。現在、国内では立教通り店、高田馬場店の3店舗が営業中。

なにより驚いたのは、ドリンクの品質の高さだ。正直、激安チェーンということで期待はしていなかった。香料などの添加物が多い安っぽい味を想像していた。だが、口にしてみたところ、私の予想は大きく外れた。