蜜雪氷城にとってのお客は加盟店
加盟店の中には、利益を増やすために、本部から卸される食材ではなく、より安価な食材を市場から調達することがある。もちろん、加盟契約違反であり製品の品質を落とす危険性があるために、本部は細かく監督をする。ただ、蜜雪氷城ではその心配がない。なぜなら、本部から仕入れる食材が最安値だからだ。
蜜雪氷城本部は、品質のいい食材を少しでも安価に卸せるように技術開発を行っている。ここでも加盟のハードルを極限まで低くしている。蜜雪氷城にとってのお客さんは実際にドリンクを買う人ではなく、加盟店なのだ。
このような蜜雪氷城のフランチャイズモデルは、StoBtoC型と呼ばれるようになっている。サプライヤーtoビジネスtoコンシューマーという意味だ。
蜜雪氷城はサプライヤーとして食材を供給し、加盟店(ビジネス)に儲けてもらう。これにより、本部と加盟店は利益をめぐって対立することなく、同じ方向を向いてビジネス拡大ができるようになっている。
日本でも、コメダ珈琲がロイヤリティーを席数に比例した定額制にして成功するなど、フランチャイズモデルの変革が始まろうとしている。
中国では、蜜雪氷城の成功によって、フランチャイズの変革がひと足先に始まっている。
主戦場は都会ではなく地方
その蜜雪氷城にも死角はある。価格破壊のドリンクスタンドであるため、利益は小さく、大都市に出店することが難しい。家賃が高いとあっという間に利益が出なくなってしまうのだ。
「喜茶」(シーチャー、HEY TEA)、「奈雪的茶」(ナイシュエ)などの中国でいま人気の中国茶カフェチェーンと比べると、地方都市の展開が中心にならざるを得ない。
このため、北京市や上海市などの大都市住人は、蜜雪氷城を見かけることは少ないし、飲んだこともない人が多い。しかし、地方都市の、特に高校生、大学生はよく行く店になっている。