アイドリングストップ機能を不採用とする新車が増えている。モータージャーナリストの鈴木ケンイチさんは「15秒以上の停車時間がないと、アイドリングストップによる燃費向上の効果は期待できない。それよりも、各社は『より安くてフィーリングの良いクルマづくり』を目指すようになっている」という――。
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ガソリン高騰時代、燃費をどう良くするか

ガソリン価格の高騰が止まりません。

資源エネルギー庁が発表する「石油製品価格調査」を見ると、8月28日時点ではガソリン価格(レギュラー)は185.6円になり、これまでの最高である2008年8月の185.1円を突破して過去最高に。9月4日時点ではさらに高騰し、ガソリン価格は186.5円にまで記録を更新しました。

政府は、9月末までとしていたガソリン価格抑制のための補助金を12月末までに延長しましたが、ガソリン価格の高騰は、まだまだ予断を許さない状況が続きそうです。

そこで考えるのは、クルマの燃費向上でしょう。

クルマの燃費を良くする方法はいくつもあります。たとえば、ふんわりとアクセルを踏む燃費の良い運転の実施もありますし、不要な荷物を降ろしてクルマを軽くするだけでも、燃費は向上します。ラゲッジルームにキャンプ道具を積みっぱなしにしている人は、大急ぎで荷物を降ろすべきでしょう。

2010年代に普及が進んだアイドリングストップ

そして、自動車メーカーによる燃費向上のひとつが「アイドリングストップ」という技術であり機能です。

これは、信号などで一時停止して、エンジン回転がアイドリング(低回転)になると、自動でエンジンを停止するというもの。クルマが停止しているのにエンジンを動かすなんて、燃料の無駄! という考えを実現した技術です。

車のブレーキを踏む男
写真=iStock.com/Rattankun Thongbun
※写真はイメージです

そのアイデアは古く、1981年のトヨタのコンパクトカー「スターレット」にも採用されています。ただし、昭和の時代は燃費に対する要求がそれほど高くなかったためか、アイドリングストップが普及することはありませんでした。

現実的なアイドリングストップの普及は、ハイブリッドカーが登場して、燃費競争が激化した2010年代以降に進んでいきました。ハイブリッドカーは当然のこと、エンジン車の多くにアイドリングストップが採用されていきます。スポーツカーであるマツダの「ロードスター」にさえ、アイドリングストップはオプション扱いですが用意されていました。