クルマの進化により「メリット<デメリット」

そして、新しく導入された燃費測定方法も、アイドリングストップには逆風となりました。燃費を測定する方法は、2017年より日本独自のJC08モードから、世界的なWLTCモードに変わっています。新しい測定方法では、より高速域での走行モードが増えていたこともあり、信号で止まるときの燃費悪化が、カタログ数値に出にくくなっているのです。

もちろん、いろいろと弱点はありますが、それでもアイドリングストップがあれば、カタログ燃費は向上します。ただし、その一方で、フィーリングやコストなどのネガティブな部分が存在しているのです。

しかも、エンジンなどが進化して効率が高まれば、相対的にアイドリングストップでの上乗せは小さくなってしまいます。つまり、クルマが進化するほどに、アイドリングストップのメリットが小さくなり、デメリットばかりが目立つようになってしまっているのです。

人気モデルはアイドリングストップ「不採用」

そうしたアイドリングストップへの逆風もあってか、最近になって、アイドリングストップ機能を採用しないクルマが増えています。トヨタの「ヤリス」「ノア/ヴォクシー」「シエンタ」、さらにホンダで言えば「フィット」。どれも各メーカーを代表するような人気モデルばかりです。

実際に、アイドリングストップを不採用とした最新のクルマたちは、どれも非常に燃費性能が優れています。「ヤリス」のエンジン車は、なんと21.6km/L(WLTCモード)もの燃費性能を誇ります。ハイブリッドではなく、普通のエンジン車で20km/Lを超えてしまっているのです。また、ミニバンの「ノア/ヴォクシー」でも15.0km/L(WLTCモード)を達成しています。

カタログ燃費の測定方法は、10・15モードからJC08モード、WLTCモードと新しくなるたびに、内容が厳しくなっています。それでも、コンパクトカーで20km/Lを、ミニバンで10km/Lを超えるというのは、相当に優秀な燃費性能と言っていいでしょう。

もともと燃費性能に優れているのですから、無理にアイドリングストップ機能を付ける必要がないとも言えるでしょう。燃費をほんの少し上げるために、アイドリングストップを付けるよりも、装備せずに、安くてフィーリングの良いクルマにしようというわけです。