日本発の次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の開発が進んでいる。テレビプロデューサーの結城豊弘さんは「従来型の太陽光パネルと違って超軽量・超薄型であるため、どこでも設置可能で、曇天の弱い光でも発電できる。日本政府はこの夢の新技術の開発・流通を急ぐと同時に、海外への技術流出を防がなければならない」という――。
日没時にソーラーパネルに触れる人
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世界をリードする「次世代太陽光発電」とは

日本発の画期的な新しい太陽光パネルの開発に熱い視線が注がれている。

6月17日、大阪府島本町に西村康稔経済産業大臣の姿があった。「水無瀬イノベーションセンター」という積水化学工業の開発研究所である。西村大臣の目的は、ここで開発が行われているフィルム型の次世代太陽光発電、ペロブスカイト太陽電池を視察するためだった。

この日、西村大臣は熱心に研究者に質問を行い、加藤敬太積水化学工業社長とも意見交換をした。その後の、記者会見で西村大臣は「日本のペロブスカイト太陽電池の技術は、世界をリードしている技術だ。引き続き日本が、この分野で先頭を走れるように社会実装と量産化に向けて経産省として支援していく」と大きなエールを送った。

岸田首相も「日本が強みを持つ技術」と強調

実際、ペロブスカイト太陽電池の技術開発には、グリーンイノベーション基金(GI)による支援が行われている。さらに、経産省の関係者は、新しい国産の太陽光電池の量産化に向けて、今国会で成立したGX推進法とGX脱炭素電源法の二つ、いわゆる「GX関連2法」をベースに、その法律の肝の「GX債」(※)も積極活用して、バックアップしていくことになるのではないかと話す。

※GX経済移行債。ゲームチェンジを起こす可能性があるが、現状は採算性が低いため民間企業が投資しにくい先進的な技術に、国が国債として調達した資金を活用して積極的に投資を行うもの。今後10年で20兆円規模を投資予定。

この西村大臣の視察に先立つ4月4日、岸田文雄首相は官邸で「第3回再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議」を開催した。会議で、首相はGX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針を具体化。再エネ・水素の一層の推進を指示した。

その上で「次世代の太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池について、日本が強みを持つ技術と材料を活かして、量産技術の確立と需要の創出、生産体制の整備を進め早期に社会実装を目指す」と特別に言及した。