各企業が実用化に向けて実験・研究を進めている
ペロブスカイト太陽光電池の実用化を推進するため、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)も200億円を投じて開発支援を行っていて、実用化と販売の動きも大きくなってきている。
例えばリコーは、光量が少なくても発電が可能な点に着目し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同開発で、宇宙空間での実用化を模索し成層圏での実証実験を行っている。
また、総合電子部品メーカーのホシデンは、電子機器や情報通信機器での軽量化に繋げられないか、搭載応用を視野に研究を行っている。
ほかにも東芝は、2018年6月に世界最大サイズ(703平方センチメートル)のモジュールを開発し変換効率を向上。15.1%の変換効率を記録している(最新の変換効率は16.6%)。
今すぐの量産化は難しく、価格面に課題も
開発のトップを走る積水化学工業は、屋外耐久性10年を確認し、2025年に全面開業するJR西日本「うめきた(大阪)駅」広場部分にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置予定だ。一般供与施設でのペロブスカイト太陽電池の採用計画は世界初だそうだ。
また、積水化学工業は、東京都環境局、下水道局と組み実用化に向けて、5月24日から森ヶ崎水再生センター(大田区)で実証実験を開始している。大きさの異なる、面積9平方メートルに、電池3種類を3枚設置して、発電効率の測定や腐食性、設置方法を検証する。定格出力は約1キロワットと国内最大規模の検証実験で、2025年1月まで続けられるそうだ。
ペロブスカイト太陽電池に対しては、「まだ量産化は無理」(政府関係者)。あるいは「低価格を実現できるか疑問」と懐疑的に見る人もまだ多い。しかし、どこでも設置ができ、自由度も高く、変換効率も従来型に追いついてきているペロブスカイト太陽光電池が、そう遠くない未来に、日本中の太陽光発電の主流になっている気がしてならない。
なぜなら、イノベーションというものは、爆発的な技術革新で引き起こされるものだからである。便利で安ければ必ず普及する。しかも国産。衣服や自動車、学校や市役所、病院などにも導入されるに違いない。それこそ、2025年の大阪・関西万博でも施設されるのではないかと私は見ている。