メタバースで大失敗…ザッカーバーグに向けられた従業員の不信感
マーク・ザッカーバーグ率いる米Meta社(旧Facebook社)が、従業員の深刻な士気の低下にあえいでいる。
Facebook、Instagram、WhatsAppなどを運営する同社は昨年、業績が急激に低下。ニューヨーク・タイムズ紙は、ザッカーバーグ氏が2023年を「効率化の年」にすると宣言したと報じている。過去半年で2回のレイオフに踏み切ったほか、今後もさらに2回の実施を予定している。合計で2万1000人規模の削減となる見込みだ。
米デジタルメディアのVoxは、「Metaはまず間違いなく、過去最も厳しい部類に入る年を過ごした」と指摘。18年間ノンストップで成長を遂げたが、株価は昨年、前年比で65%急落したと指摘する。
米IT大手は一様に厳しい時代を迎えているが、MetaはGAFAMと呼ばれる大手5社のなかでも一段と厳しい状況に立たされている。Facebookで一時代を築いた同社が凋落した原因はいくつも指摘されているが、なかでもトップのビジョンの迷走が大きく災いしたようだ。
IT他社が人工知能(AI)の開発に資金を投じるなか、同社はここ数年、「メタバース」と呼ばれるオンライン空間の提供に全力を傾けている。ユーザーが仮想の人物「アバター」の姿を借り、交流を図る仮想の世界だ。だが、現実には過疎化が過疎化を呼ぶ悪循環に陥っている。
社内チャットでは不満が渦を巻いている
芽生える気配のないメタバースの開発に大金を注ぎながら、カリフォルニア州メンローパークのMeta本社内では解雇の嵐が吹き荒れる。Metaの従業員たちは、ザッカーバーグ氏らトップへの不信を深めている。
米ワシントン・ポスト紙は、「マーク・ザッカーバーグはいかにしてMetaの労働力を破壊したか」との記事を掲載。従業員たちは、いつ自身を襲うとも知れないレイオフの波に翻弄されており、ザッカーバーグ氏はビジョンと従業員からの信頼を失ったとの見方を取り上げた。