仮想空間は一過性のブームだった
こうしたなかザッカーバーグ氏が希望の光とみるのがメタバースだが、ユーザーの心とは大きな乖離がみられるのが現状だ。VRについては確かに一部ゲームなどで、他社製デバイスも含め、一定のユーザーを獲得している。
だが、Meta社はVRコンテンツのなかでも、ユーザー同士の交流空間であるメタバースの普及に骨を折っている。現在のところ十分な興味を引いているとはいえず、ブームの到来が予言されつつも本格的な普及に至ることなく消えた「セカンドライフ」の後追いだとする否定的な意見さえ聞かれる。
セカンドライフはその名の通り、コンピューター内で「第2の人生」を生きる理想空間を追求したサービスだ。一時は高額で仮想の土地を購入するユーザーが相次ぐなどブームを生んだが、一過性の現象に終わった。
Meta社のHorizon Worldsについては、そもそも一時的なブームにすら至っていない。肝心のユーザーが集まらず、VRヘッドセットを購入した希少なユーザーでさえ、半年とたたずに離脱する悪循環が生じている。
いつまでもメタバースに固執するべきではない
セカンドライフの衰退をみるに、人々がバーチャル空間での交流を求めているという考えは、サービスを提供する側の幻想にすぎないのだろう。MetaのVR事業についても、例えばゲーム用ヘッドセットのハードウエア販売に特化し、仮想ワールドのサービスからは撤退するなど、思い切った事業の整理が求められているように思われる。
FacebookやInstagramで「いいね」を送るだけで温かい気持ちが伝わるいま、ゴーグルを装着しアバターを操作して他人と触れ合うというアイデアは、必ずしも多くのユーザーの賛同を得るに至っていないようだ。