三菱自動車は5月25日に、新型軽自動車「デリカミニ」を発売する。自動車評論家の小沢コージさんは「正確には新型車ではなく、2020年発売の『eKクロス スペース』のマイナーチェンジ版だ。受注は好評で、狙いは当たったが、『デリカしか武器がない』という現実を示しているともいえる」という――。

絶対王者N-BOXとの違い

「そうか……この手があったか!」

見るなりそう思わされたのが5月25日発売予定の三菱「デリカミニ」です。4カ月以上も早い1月13日から予約を開始し、4月頭には月間販売目標台数2500台をはるかに上回る受注9000台を突破。

成功の秘密は年始の東京オートサロンで実車公開、同日始めた早期受注戦略はもちろん、独特のあざといデザイン戦略にあります。ありそうでなかった仏頂面キュートフェイスです。

全高1.7m超えのボディや両側スライドドアを見ればわかるように、ジャンル的には流行りの軽スーパーハイトワゴン。今や国民車ともいえる6年連続国内最多販売のホンダ「N-BOX」と同じであり、それを求めるお客は相当います。

しかし見るからにN-BOXと同じ匂いがしないのです。N-BOXがIKEAやニトリに置いてあるシンプルなクリーン家具としたら、デリカミニはアウトドアショップやオモチャ売り場に置いてあってもおかしくないガジェット系。ふたつの車は毛色が異なっており、ターゲットの違いを感じます。